2024年のマーケットを振り返る
早いもので、もうすぐ2024年も終わりを迎えます。日経平均株価は2023年末の終値3万3,464円17銭から、2024年12月13日時点では3万9,470円44銭まで上昇しています。
7月11日には4万2,426円77銭の高値をつけたものの、そこから一気に30%近く急落し、8月5日には歴史的な下落率、下落幅となったことも記憶に新しいです。
ただ、近年の株式マーケットの特徴として、日経平均株価と個別銘柄の動きが連動しないというものが挙げられます。
実際、大手銀行株、重工株など1年間で大きく上昇したものもある一方、半導体株のように、年央に向けて上昇したもののそこから下落して2023年末とほぼ変わらない株価になっているものや、中には2023年末から半値にまで下落しているものもあり、どの銘柄に投資したかによって投資成績が大きく変わる結果となったはずです。
このように、日経平均株価が上昇しても個別銘柄が上昇しないケースは往々にしてあります。そんな時でも日経平均株価上昇の恩恵を受けるために、個別銘柄に加えて、日経平均株価連動型のETF(上場投資信託)や、日経平均先物への投資を検討することをお勧めします。
2025年の展望は?
もうすぐ年が明けて2025年になりますが、「2025年の展望は?」と聞かれると、筆者は正直困ってしまいます。
要は、2025年の予想を聞かれているわけですが、どんなに優れた専門家でも予想は外れることがほとんどだからです。
実際、2023年末の時点で年央に日経平均株価が4万2,000円を突破し、その後わずか1カ月で30%近く急落することなど、誰も予想できなかったはずです。
ですから、まずは今後起こり得る事象を推測しつつ、実現可能性が高そうなシナリオを検討していく、という流れで考えていきたいと思います(それも予想に変わりありませんが)。
2025年は、何といっても第2次トランプ政権がいよいよ本格的に動き出すことが最大の注目点です。
トランプ大統領は積極的な財政支出による景気浮上と、エネルギー価格を規制緩和などにより低下させるインフレ対策を掲げていますが、正直申し上げてこの二つが両立するかは分かりません。
財政支出はインフレ促進の方向ですし、エネルギー価格低下はインフレ抑制の方向だからです。
ただ、財政支出を行えばそれだけ景気にプラスであることは間違いありませんので、ひとまず米国経済は堅調で、株価も上昇する可能性が高いのではないかと思います。
日本株は米国株と為替次第
では、日本株はどうでしょうか? 正直申し上げて、日本株が世界各国と異なる独自の動きで株価上昇するということはなかなか考えづらく、やはり米国株と為替レート次第での動きになると思われます。
ですから米国株が堅調であれば日本株も堅調、為替レートが円安に振れれば日本株は上昇しやすくなる、という図式が今後も続くでしょう。
日本独自の変動要因としてはやはり日本銀行の利上げです。利上げにより日米金利差が縮小となれば為替は円高方向に向かいます。そうなれば個別銘柄はともかく、日経平均株価は上値が重くなる展開となるでしょう。
為替レートについては、日米金利差の問題が大きいので、日銀の利上げがどこまで行われるかと、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げがどこまで行われるかの綱引きで変わってきます。そうなるとなかなか為替相場については読みにくいと思われます。
インフレ率の閾値到達までは強気で臨むべきか?
トランプ大統領の政策は景気浮揚が期待できますが、同時にインフレ率を高めることになります。
そうなると、米国債金利も上昇することになりますが、このとき単に「金利上昇=株価下落」とはならないことに注意が必要です。
教科書では、金利上昇は株価下落の要因と書かれていますが、そもそも金利上昇がもたらされている理由が好景気により需要が高まっているからなのであれば、好景気をはやして株価は上昇するはずなのです。
ただ、金利上昇がある水準(「閾値(しきいち)」)を超えると、好景気によるプラスの影響を、金利上昇によるマイナスの影響が上回ることになります。そうなれば株価は下落に転じるでしょう。
なお、インフレ率の閾値がいくらなのかは具体的には分かりませんので「株価は株価に聞け」のスタンスを取らざるを得ません。
金利上昇かつ株価も上昇しているのであればその流れに乗ればよいですが、金利が上昇を続け、株価が下落に転じた場合は、インフレの悪影響が好景気によるプラスの影響を上回ったサインになる可能性があります。そのときはルールに従い保有している株式などは売却を検討するのがよいと思います。
「1970年代の米国株」の動きが参考になる
1970年代の高インフレの時期の米国株も、株価は大きな上昇と下落を繰り返していました。当時の日本は高度成長期でしたが今は経済が成熟しているので、日本の1970年代の株価ではなく、米国の1970年代の株価の推移が参考になります。
当時の米国は「株式の死」と呼ばれるほど、横ばいの状態が続きましたが、それは株価が大きく上下に動いた上での長期間でみた横ばい、ということです。
つまり、株価上昇の初期段階で買い、株価下落の初期段階で売ることができれば、長期間横ばいであっても利益を得ることができます。
これは、例えば移動平均線と株価の関係性などから売買ルールを設定し、実行することで可能となります。
インフレ率が高くなった場合は、「バイ・アンド・ホールド」よりも株価のトレンドに沿った売買が必要になるのではないか、と考えています。
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