2025年の収益見通し良好、スマホの仕様アップグレードやEV部品の需要拡大で

現地コード 銘柄名
02018

瑞声科技控股

(AACテクノロジーズ)

株価 情報種類

36.50HKD
(12/3現在)

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 中国のスマホ部品メーカー、瑞声科技について、BOCIは2025年に向けて複数の支援材料が存在すると指摘している。具体的にはiPhoneのVC(ベイパー冷却)やMEMS(メムス:微小電気機械システム)マイクのアップグレード、アンドロイド機のスペックの向上、光学部品の価格競争の緩和、EV(電気自動車)向け音響・カメラ部品の同社設計図が採用される見通しなどが好材料。強力な技術力と顧客基盤を持つ同社は、人工知能(AI)対応スマートフォンやプレミアム化が進むアンドロイド機、中国製EV、AR(拡張現実)/AIグラスなどの投資分野で、サプライチェーンの主要企業であり続けるとみている。また、スマホのエコシステムがその他ハードウエア分野に浸透し続ける状況下で、同社のビジネスチャンスは拡大中との見方。株価の先行きに強気見通しを継続している。

 まず主要取引先の1社である米アップルはAIハードウエアのアップグレードを今後も継続するとみられ、MEMSマイクやVCなど、部品のアップグレードも続く見込み。BOCIは音響部品と精密部品の主要サプライヤーである瑞声科技に大きな恩恵が及ぶとみる。

 一方のアンドロイド機は、特にハイエンド機種の2024年の国内販売が好調。小米集団(01810)などの主要スマホベンダーは2025年に向け、スペックのアップグレードや生産台数計画について強気見通しを示しているという。BOCIはAIスマホだけでなく、三つ折りタイプやハイブリッドレンズカメラ搭載型を含む折り畳み式スマホが、2025年もアンドロイド向け部品のアップグレードを後押しするとの見方。同社の大口顧客トップ3に含まれるファーウェイ(華為技術)と小米集団は、長期的に市場シェアを伸ばす可能性が高いとしている。

 このほか、AR/AIグラス分野では「Ray-Ban Meta」スマートグラスの成功に伴い、中国国内勢が大挙して2025-26年の投入を目指した製品開発に取り組んでおり、同社の音響部品ビジネスにとっての追い風となる可能性が高い。

 また、EV車載分野はスマホのエコシステムが侵食している典型的な事例であり、消費者向けデバイスの有力企業であるファーウェイと小米集団のEV事業が大きな成功を収めている。BOCIは買収したベルギー企業プレミアム・サウンド・ソリューション(PSS)とファーウェイ、小米集団との緊密な連携により、瑞声科技の音響ソリューションが新EVモデルのリファレンスデザインに採用される可能性が極めて高いとの認識。テスラ向けのレンズ量産化に向けたプロセスも進行中だと報告している。

 BOCIは同社ビジネスが2025年も上向きに推移すると予想。スマホの仕様アップグレードと同社の市場シェアの拡大を見込み、2024-26年の予想EPS(1株当たり利益)を1%、14%、19%増額修正した。2025年予想PER(株価収益率)24倍を当てはめて目標株価を引き上げ、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。