※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の土信田 雅之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「米国株の上昇は「まだまだ」?「そろそろ」?~意外な落とし穴に注意~(土信田 雅之)」
「独り勝ち」が続く米国株
12月相場入りとなった今週の株式市場ですが、米国株に視線を向けると、4日(水)の主要株価指数(ダウ工業株30種平均、S&P500種指数、ナスダック総合指数)がそろって最高値を更新するなど、好調さを維持しています。
下の図1は、以前のレポートでも度々紹介したことがありますが、昨年末を100として、各国の株価指数の推移を比較したチャートになります。
<図1>各国主要株価指数の推移(2023年末を100)(2024年12月4日時点)
ナスダックとS&P500が突出して強く、それに一歩遅れる格好でNYダウが続き、さらにその下に、日経平均株価や香港ハンセン指数、TOPIX(東証株価指数)、上海総合指数、インドSENSEX指数などが団子状態で並ぶ状況になっています。
なお、上の図1では日経平均がNYダウに迫っていることも確認できます。
日本株の詳細な動きについては、来週9日(月)掲載の『テクニカル風林火山』で解説する予定ですが、最近の日本株は、企業の自社株買いが下値の支えになっているほか、金利上昇による銀行株買いや米国の流れを受けたハイテク株買い、米国株と比べた出遅れ感や割安感、そして、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による運用比率の見直しへの思惑なども買い材料になったもようです。
いずれにしても、米国株の強さが目立つ状況が続いています。
米国株の上昇は「行き過ぎ」なのか?
となると、「今後も米国株が上昇を続けることができるのか?」と、「米国株の上昇に遅れて他国の株価指数もついて行くことができるのか?」が気になるところです。
確かに図1を見ると、今週に入ってからの日本、中国、インドの株価指数がそろって上昇の動きを強めているようにも見えるため、米国株の上昇継続の可否が目先の株式市場全体の焦点になってきます。
もっとも、米国株の上昇が「行き過ぎているだけ」という見方もできますので、この点について確認して行きたいと思います。
まずはテクニカル分析面から見ていきます。
<図2>米S&P500(日足)の動き(2024年12月4日時点)
上の図2は米S&P500の日足チャートです。
8月に安値をつけて以降、順調に値を伸ばしていることが分かるほか、3本(5日、25日、50日)の移動平均線が、上から期間の短い順に並ぶ「パーフェクト・オーダー」となっていて、トレンドが上昇基調にあることが確認できます。
その一方で、8月と9月の安値同士を結んだトレンドラインが足元で抵抗となる中で株価が上昇していることや、ローソク足の値動きを過去にさかのぼっていくと、6,000pや5,800pなどの200p刻みの株価水準が「節目」として意識されていることが分かるため、テクニカル分析的には、「様子を探りながら株価が上昇している」ということが読み取れます。
この流れで行けば次の上値の目安は6,200pとなりますが、先ほどのトレンドラインに沿って順調に動くのであれば、株価が6,200pに届くのは14営業日後あたりになります。
また、株価の動きについては、「株価が高いか安いか」で動く局面と、「相場が強いか弱いか」で動く局面があります。
前者はテクニカル分析やファンダメンタルズ分析などの理屈が当てはまりやすく、理性的に株価が動きやすいですが、後者については、感情やムードが相場を覆い、株価の動きが極端になりやすい傾向があります。
そのため、様子を探りながら株価が上昇しているように見える現在のS&P500は、前者の局面であると言えそうです。
なお、今後の株価上昇のピッチが加速していった場合、新たな買い材料が加わったことが要因であれば良いのですが、そうでない場合には過熱感を帯びてくるため、警戒が必要です。