2024年7-9月期は実質約10%減益、短期的にはホテル供給過剰の影響続く

現地コード 銘柄名
01179

華住集団

(フアジュー・グループ)

株価 情報種類

26.90HKD
(11/28現在)

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 中国の大手ホテルチェーン、華住集団の2024年7-9月期の売上高は前年同期比2%増の64億4,200万元と、経営陣のガイダンスに沿う数字となったが、調整後EBITDA(利払い、税引き、償却前利益)は9.5%減の21億1,300万元と予想を下回った。BOCIは前年同期実績の高さと業界全体のホテル供給量の増加が響いたとしながらも、業界平均以上の業績を確保したとの見方。ただ、供給過剰問題は10-12月期にやや和らぐものの、短期的には利益を圧迫すると予想した。10-12月期の売上高に関する経営陣のガイダンスは1-5%増にとどまっており、2024年通期利益に関する市場の懸念につながる可能性を指摘。それでも業況が底打ちすることで、2025年はより良い年になる可能性があるとしている。

 7-9月期には調整後EBITDAが9.5%減少し、BOCIの予想(ほぼ横ばい)を下回った。その理由は主に、◇RevPAR(1室当たり売上高)の前年同期比8%の縮小など業務指標の悪化に伴う営業レバレッジの低下、◇主要人材の流出防止に向けた株式報酬の強化、◇コロナ後のペントアップ需要に起因する前年同期実績の高さ、◇主力の華住ブランドチェーン「レガシー華住」の海外事業に絡むリストラ費用8,100万元の計上。

 短期的には業界全体の供給過剰が同社の足かせとなる見込み。市場は客室供給量の増加分を消化しつつあり、業界全体の宿泊料金は10-12月期に底入れするとみられるが、同社経営陣は引き続き、短期の利益見通しに対して慎重。10-12月期のRevPARについて1桁台半ばの減少を予想し、売上高は前年同期比1-5%の小幅増となる見通しを示した。一方、続く2025年についてはRevPARが安定するとみており、BOCIは少なくとも前年並みを予想。前年実績の高さというベース効果の消失も寄与するとみている。

 7-9月期にはRevPARと利益が縮小する中、同社は新規ホテルの開業を加速し、期中のホテル純増数は557軒。9月末の総数は前年同期比18.6%増の1万707軒に達した。RevPARが安定化すれば、新規の開業効果が短期的な利益成長を支える見通しという。

 7-9月期には「レガシーDH」部門(買収した独シュタイゲンベルガー)でリストラを実施。本社管理スタッフを30%削減し、8,100万元の費用を計上した。コスト削減効果は2025年に顕在化し、中国国内事業の低迷を一部相殺するとみられる。

 BOCIは2024年の予想EBITDAを5%減額修正する半面、2025-26年に関しては各2%上方修正。2025年EV/EBITDA(企業価値=EVがEBITDAの何倍かを表す指標)12.5倍をベースに目標株価を引き上げた。高ROE(自己資本利益率)や営業キャッシュフローを生み出す能力に加え、最新の株主還元計画に言及し、同社株の再評価の可能性を指摘。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 レーティング面の潜在リスク要因としては、国内の旅行需要や消費能力が予想以上に萎縮している可能性や、市場競争の激化、急激な為替変動などの可能性を挙げている。