1.世界市場で「米国株の独り勝ち」が鮮明となっている
米国市場の株式動向を象徴するS&P500種指数は11月に+5.7%と2023年11月以来1年ぶりの月間上昇率を記録し「強気相場」を維持しています。11月29日には今年53回目となる過去最高値を更新。11月5日の大統領選挙後では最高値を6回更新しました。
米国の有権者の過半は「アメリカ・ファースト」(米国第一主義)を掲げるトランプ前大統領の再選を選択。同時に実施された連邦議会選挙でも共和党が上院議会と下院議会で多数党を占める「トリプル・レッド」(トライフェクタ)を果たしました。
10月中旬から市場を覆っていた政治的不透明感は後退し、「トランプ2.0」と呼ばれる共和党主導による「プロビジネス」や「アニマルスピリッツ」(法人減税や規制緩和など企業寄り)と呼ばれる政策期待が株式市場の上昇要因となりました。また、今年も為替市場では総じてドル高・円安となっています。
図表1は、ドル建て米国株(S&P500)と全世界株(オールカントリー)、円換算した米国株と全世界株および日本株(TOPIX(東証株価指数))の年初来リターンを比較したものです。為替差益を加味した円換算S&P500(為替ヘッジなしインデックスファンドをイメージ)の年初来騰落率は+34.2%、円換算の全世界株は同+25.9%と日本株のリターン(+13.3%)を大きく上回っています(11月29日)。
こうした中、トランプ氏による関税引き上げや対外強硬策の不安を受け、欧州株、日本株、中国株は選挙後に劣勢となっており全世界株の重しとなっています。換言すると、全世界株の時価総額ウエートで6割以上を占める米国株の優勢が全世界株の堅調を支えているのが現状です。
世界株式のアセットアロケーション(国別資産配分)を管理する機関投資家にとり「軽視できない市場別優劣」が出てきたことを2025年に向けて意識したいところです。
<図表1>世界市場では「米国株の独り勝ち」が鮮明に