日経平均は「3万8,000~4万円の壁」抜けられず
先週(営業日:11月25~29日)の日経平均株価は、1週間で75円下がって3万8,208円となりました。好悪材料がきっこうして、上下とも大きくは動きにくい展開となっています。
日経平均週足チャート:2024年1月4日~11月29日
2024年の日経平均は、3万8,000~4万円のレンジを中心とした展開となっています。3月と7月に上値をトライしましたが、失敗しました。8月には、下値をトライしましたが、それも失敗しました。10月~11月の日経平均は、好悪材料きっこうで3万8,000~4万円の往来相場となっています。
好悪材料きっこう
以下【1】~【5】に示すように、好悪材料がきっこうしています。
【1】来年1月20日米大統領に就任するトランプ氏に対する期待と不安
トランプ氏が景気刺激策(法人減税や規制緩和)を進める方針であることへの期待から、米国株は上昇してきました。ところが、足元、トランプ氏の政策のネガティブな面にも焦点が当たり始めました。先週は、トランプ氏がSNSでメキシコ・カナダに25%の関税をかけ、中国に10%の追加関税をかけると表明し、新たな不安を生じました。
トランプ・リスクについて詳しい解説は、以下を参照してください。
2024年11月12日:米国株最高値の裏に、五つのトランプリスク。インフレ、米中摩擦、ロシアゲート…(窪田真之)
【2】米景気ソフトランディングへの期待とインフレ再燃の不安
米景気堅調のうちに、米インフレ率が低下してきたことが好感されて、米国株は上昇してきたものの、トランプ氏再選で財政支出がさらに拡大してインフレが再燃、金利が上昇する不安も出ています。
【3】日本の企業業績は非製造業が好調だが、製造業が悪化
9月中間決算はさえない内容でした。円安メリットを受けながら、自動車など製造業の業績が悪化しました。一方、金利上昇の恩恵を受ける金融株や、情報通信など非製造業が増益です。
楽天証券経済研究所予想では、今期(2025年3月期)純利益は4.8%増益となりますが、会社予想ベースではほぼ横ばい(0.2%の微増益)予想です。
東証プライム3月期決算主要841社の連結純利益(前期比%):2020年3月期~2025年3月期(予想)
【4】日本の衆院選で与党大敗、少数与党に
自民党主導で資本主義の成長戦略を進めるのが難しくなったことはネガティブ材料です。野党の要求によって、財政拡大政策が取られやすくなったことが株式市場にプラスとの考えもあります。国民民主党による「年収103万円の壁撤廃」などの政策に期待が高まっています。
【5】日米の金融政策・ドル/円為替レートの先行きに不透明
米金利が高止まりしているため、1ドル=150円前後の円安が続いています。この水準が続けば、日本の企業業績に追い風です。ただし、12月にFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを続け、日本銀行が利上げを行うと、円高になる可能性もあることが不安材料となっています。