今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは152.90

下値メドは150.10 

ドル最強:世界のどの地域もドル資産を振り替えるほどの魅力ない
中国不動産不況:新築販売が前年比マイナス20%。政府の対応策効果上がらず 
政治と金融:パウエル議長は、米大統領選の結果次第で金融政策が変化することを明確に伝えるべき
債券:米国債の利払いが、米GDPの3%に達する 
銅:5月の高値から20%下落。中国の需要後退で

前日の市況

 11月27日(水曜)のドル/円相場の終値は151.14円。前日終値比1.97円の「円高」だった。
この日のドル/円は大幅に下落。米大統領選後の安値を抜けて10月21日以来の安値をつけた。

ドル/円 月足
出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

 2024年238営業日目は153.05円からスタート。東京時間朝につけた153.23円をこの日の高値として南下を続けた。11月6日につけた米大統領選投票日の安値(151.28円)をあっさりスルーすると未明には150.46円に到達して、10月21日以来の安値をつけた。24時間のレンジ幅は2.78円。

 この円高の背景には、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測や日銀の利上げ期待がある。今週26日に公開されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録が「緩やかな利下げの継続」を示唆していることがわかり、金利市場では12月のFOMCでの追加利下げの確率が60%以上まで上昇している。日銀による12月の利上げ予想も50%程度あるなかで、日米金利差縮小の期待で円が買われた。

 また、米国の長期金利は低下傾向にあり、これもドル安要因となっている。トランプ次期大統領が財務長官に指名したスコット・ベッセント氏が財政赤字の抑制に努めると発言したことで米国のインフレ抑制の期待が高まり、FRBは予定通り利下げを継続できるとの予想が強まっている。ベッセント氏は、貿易関税政策に対して消極的な姿勢を示しているが、通貨政策に関しては「ドルの準備通貨としての地位を維持する」考えのようだ。

ユーロ/ドル 月足
出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

 先週はドイツの政治不透明感が材料となってユーロが売られたが、この日はフランス政府の予算案を巡る議会対立とフランス内閣の崩壊危機がユーロ安材料となった。

 フランスのバルニエ首相が、政府の予算案が否決された場合、金融市場に「嵐」が訪れる可能性があると警告するなかで、野党連合は来週にも内閣不信任投票を行う考え。これが可決された場合フランスは深刻な経済的混乱に直面する可能性が高い。フランス国債のリスク指標はユーロ圏債務危機以降で最高水準に達し、フランス10年国債のドイツ国債に対する利回りスプレッドは86ベーシスポイントを超えた。

 ユーロ/ドルは1.04ドル台半ばのユーロ安水準での取引が続いていたが、シュナーベルECB(欧州中央銀行)専務理事の発言でユーロが急速に買い戻された。シュナーベル理事は「ECBの利下げ余地はあまりない」と発言して、これによりECBの大幅利下げ観測が後退した。ユーロ/ドルは一時1.0590ドル近辺まで上昇した。ただし、ECBのタカ派姿勢維持は、悪化している欧州経済をさらに悪化させるリスクが高く、中期的なユーロ安要因になるとの見方もある。

主要指標 終値

主要指標 終値
出所:楽天証券作成