トランプ氏が関税引き上げに言及、日経平均・大型株の上値が重くなってきた
毎日のレポートに書いている通り、日本株は割安で、長期的に大きく上昇すると予想しています。日経平均株価で言うと、5年以内に5万円まで上昇すると予想しています。
ただし、短期的には不安材料が増えています。気になるのは「トランプ・リスク」。株式市場はこれまで、来年1月20日に米大統領に就任するトランプ氏が掲げている公約のうち、株式市場に都合の良いところだけを見て「トランプ・ラリー」と呼ばれる株高をつくり出してきました。
ところが、トランプ氏の公約には、株式市場にとってマイナスになる内容も含まれています。今後は、トランプ氏公約のネガティブな面にも焦点が当たることが考えられます。一番心配なのが、輸入関税の引き上げです。世界中の製造業にダメージを与えるとともに、米国でインフレを悪化させ、金利を上昇させるリスクがあります。
トランプ氏はまだ大統領に就任していませんが、早速、関税引き上げについてSNSで情報発信を始めました。来年1月20日、大統領に就任するとともに、【1】中国からのほぼ全ての輸入品に追加で10%の関税をかける、【2】メキシコとカナダからの輸入品に25%の関税をかけると表明しました。
トヨタ、ホンダ、日産自動車、マツダなどは、メキシコで生産した自動車を米国に輸出しています。メキシコに25%の関税がかかると大きなダメージとなります。
さまざまなリスクが表面化してきたことを受けて、日本株は上値が重くなってきました。グローバルにビジネス展開する大型株は、上値を追いにくくなっています。
小型株不振が長期化している
過去4年以上にわたり、日本株で、「大型株好調・小型株不振」が続いています。2020年以降のTOPIX100【注1】と、TOPIXスモール【注2】の動きを比較した以下のグラフをご覧ください。
【注1】TOPIX100
東京証券取引所上場の時価総額の大きい100社から構成される株価指数
【注2】TOPIXスモール
東京証券取引所上場の時価総額の小さい銘柄から構成される株価指数。時価総額の大きい500社から構成されるTOPIX500に入らない指数対象銘柄全てが含まれる。
TOPIX100とTOPIXスモールの月次推移比較:2019年末~2024年11月(25日)
この現象は、日本株だけでなく、米国株も含めて世界的な傾向です。小型グロース株(小型成長株)も、小型バリュー株(小型割安株)も、どちらもさえない展開が4年以上も続いています。
これはとても珍しいことです。長期的に見ると、小型株の方が大型株よりもパフォーマンスが高いことが多いからです。参考まで、TOPIX100とTOPIXスモールの2001年以降のパフォーマンスを比較すると、以下の通り、小型株の方が高くなっています。