圧倒的に多い初心者からの質問とは?
筆者も株式投資の世界では多少の知名度があるため、会合などで「株式投資の先生です!」と紹介されることが多いです。
そうすると、特に投資初心者の方から受ける質問で圧倒的に多いのが「どの株を買えば良いですか?」というものです。
最近はNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)もだいぶ浸透しているからか、「NISAでどの投資信託を買ったら良いですか?」とか「iDeCoでは何に投資すれば良いですか?」という質問も多いです。
こうした質問について、筆者としては正直困りますし、まともに回答をしようとも思いません。
確かに投資初心者は右も左も分からない方がほとんどでしょう。ですから、「株式投資の先生」が横にいるとなれば、果たしてどのような株・投資信託などに投資したら良いのか、聞きたくなる心情も分かります。
しかしそれは、実は失敗を招く大きな要因であることをぜひ知っておいてください。
もし筆者が証券会社や保険会社の営業マンだったら?
筆者は銀行マンでも証券マンでも保険の営業マンでもありません。株式投資の情報発信も、「自立した投資家になってもらいたい」という思いから、まさに「魚を与えるのではなく魚の釣り方を教える」ことにこだわっています。
また経験上、銘柄を推奨したところで外れることも非常に多いですし、それに従って実際に投資をした方が損失を被ったとしても責任を取れるわけでもありません。
ですから筆者は株式や投資信託につき銘柄の推奨は行わないようにしているのです。
でも、もし筆者が銀行マンや証券マン、保険の営業マンだとしたらどうでしょうか? 目の前に「何を買ったら良いか分からないお客さま」がいるのですから、「自分が売りたい商品」を売ろうと思うはずです。
良心のある営業マンなら、できる限りお客さまの希望に沿ったものを売ろうと心がけると思いますが、それでも自分が取り扱うことのできるラインアップの中でしか選択することはできません。
中には、お客さまの都合ではなく営業マン自身の都合で商品を選ぶという可能性だってあります。
つまり、誰かに「どの株を、どの投資信託を買ったら良いか教えて!」と聞く行為は、自分自身でベストないしベターな選択をすることを放棄することになります。
相手側が自分自身にとってふさわしくない商品であったとしても、それを自己責任で受け入れなければならないということなのです。
自分で考える習慣をつけよう
筆者は、投資初心者の方であっても最低限の知識は必要だと思っています。自分で考え、判断することができるために最低限必要な知識です。
自分が投資すべき商品は何かを他人に聞くという行為は、厳しい表現をすれば生殺与奪の権利を相手側に渡してしまっていることになります。それでいて、「投資は自己責任」ですから、他人のアドバイスにより投資する商品を決めて、その結果大きな損失を被っても、アドバイスをくれた人に責任転嫁することはできないのです。
ですから、ぜひとも自分で考える習慣をつけるようにしてください。自分で考えることができれば、自分で決断・実行できますから他人に「どの株を買えば良いですか?」と聞くこともなくなります。
他人に質問するにしても、「〇〇の理由でこの株を買おうと思っているのですが、この考え方に誤っている点がないかアドバイスください」というような内容におのずとなっていくはずです。
どうしても自分で考えることができないのならばどうするか?
とはいえ、仕事が忙しかったり、勉強する時間がなかったりするなど、何に投資したら良いかを自分で考えることができないという方も多いでしょう。
そんな方は、とりあえず「インデックスファンド」を買っておけば良いのではないでしょうか。
その上で、投資に充てる時間が増え、しっかり勉強していけばインデックスファンド以外の選択肢も見つかるはずです。
インデックスファンドへの投資も当然ながらリスクはありますし、唯一の正解というわけではありません。
重要なのは自分で決断した投資先への投資の結果、大きな損失を出さずに済むような売買のルールづくりとその実行です。もしくはバイ・アンド・ホールドするのであればどんなに株価が変動しても持ち続けるという覚悟です。
「何に投資するか」「いつ買うか」「いつ売るか」の三つをご自身で決断できるようになるために必要な最低限の知識は、個人投資家にとって必須です。何に投資すべきか、誰かに聞きたくなる気持ちは分かりますが、自分の頭で考えることで、個人投資家として一歩も二歩も成長することにつながります。ぜひ頑張ってみてください。
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