SNSと既存メディアの二刀流が必要
ここからは、SNSと既存メディア、それぞれの特徴を述べます。以下は、SNSと既存メディア(テレビ、新聞、雑誌、ラジオなど)を比較した資料です。
図:SNSと既存メディアの比較
SNSを利用すれば、誰でも手軽に情報を発信することができます。個人、企業、団体が主体になり得、多様な視点の情報が行き交います。瞬時に発信でき、リアルタイムで更新することも可能です。災害や緊急時の情報共有にも役立ちます。
シェアやリポスト(他のユーザーの投稿を引用した投稿)をすることができたり、アルゴリズムによるおすすめ機能によって、関心がありそうな他のユーザーの画面に表示されたりするため、たった一つの投稿が膨大なユーザーに拡散される場合もあります。
また、投稿に対してコメントをしたり返信をしたり、DM(ダイレクトメッセージ)にてユーザー間で直接やり取りをすることができます。写真や動画、短いフレーズで、感情に訴えるメッセージを送信することも可能です。
一方で、発信者による情報の精度にばらつきがあるため、フェイクニュース(ニセ情報)の拡散リスクが比較的高い、興味に基づくアルゴリズムによって、ユーザーが偏った情報を見てしまい、当該ユーザーの視野が狭くなる懸念も指摘されています。
SNSでは、簡潔で感情的な表現が注目されやすいため、扇動的な内容が支持を集める場合があります。最近の動向が示すとおり、選挙や政治活動での活用が進む中で、(政策への支持よりも)感情的な支持を得る手段としてSNSが重視される場合もあります。
既存メディアの情報の発信者は、テレビ局、ラジオ局、新聞社、出版社など、限られた機関です。視聴者・読者に情報を届けることが中心で、双方向の交流は限定的です。情報は取材・編集を経て精査され、事実確認が行われています。
社会全体を対象にしており、視聴者個人の興味関心にかかわらず、広範囲の情報を発信しています。法律や放送倫理に基づいて運営され、ニセ情報や扇動的な内容が抑制される傾向があります。
一方で、情報発信に時間がかかり、速報性に欠ける場合があります。また、番組制作、印刷、配信などにコストがかかり参入障壁が高かったり、視聴者や読者の反応を直接的に取り入れる仕組みが限定的であったりします。
上記をまとめると、SNSは「迅速で双方向性が高いが、人々の感情が膨張する可能性がある」、既存メディアは「公共性が強いが、即時性や双方向性に課題がある」と言えるでしょう。完璧な情報発信者は存在しません。両者を補完的に活用することが望まれます。