2024年7-9月期決算は全般に好調、けん引役は海外向け「Trip.com」

現地コード 銘柄名
09961

携程集団

(トリップ・ドットコム)

株価 情報種類

506.00HKD
(11/20現在)

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 オンライン旅行会社のトリップ・ドットコムの2024年7-9月期決算は、調整後純利益が前年同期比23%増の60億6,000万元と市場予想を上回った。コロナ禍後のペントアップ需要で前年同期実績が高かったが、全事業部門がプラス成長を維持した。BOCIは海外向けプラットフォーム「Trip.com」をけん引役に、同業他社を上回る成長が続くと予想し、多様な商品ラインナップを強みとする同社のアウトパフォームを確実視。さらに早期のAI導入効果による高利益率の維持を見込み、株価の先行きに強気見通しを継続した。

 7-9月期の売上高は前年同期比16%増の159億元と、市場予想を約2%上回る水準。宿泊予約が22%増の68億200万元に達したほか、交通機関予約も5%増の56億5,000万元。前年同期実績の高さや2024年に入ってからの運賃「正常化」にもかかわらず、プラス成長を確保した。全体の粗利益率は0.4ポイント上昇の82.4%と、過去最高水準。販管費の抑制で、非GAAPベース(一時損益などを除く調整後)の営業利益率は2.2ポイント上昇の34.4%と、これも過去最高を記録した。非GAAPの営業利益は34%増の54億6,500万元。純利益は23%増の60億600万元と、BOCIの予想を5%上回った。

 7-9月期の国内業務にとっては連休が追い風となったが、旅行者はオフシーズン志向を強めており、BOCIはこうしたトレンドがホテル供給量の増大に伴う宿泊料金の下落圧力を一部打ち消すとの見方。10-12月期の国内のGMV(流通取引総額)の堅調を見込む。一方、7-9月期のアウトバウンドは約40%増。国際線の輸送能力がコロナ禍前の8割強まで回復する中、10-12月期もアウトバウンドの拡大傾向が続くとみている。

 一方、最大の成長エンジンは海外向けプラットフォームの「Trip.com」。7-9月期も2桁成長を維持し、売上高全体の約9%(14億元)を占めた。BOCIはアジア太平洋と欧州市場への浸透を理由に、10-12月期に前年同期比50%超の増収を予想。ユーザー獲得目的のマーケティング費がかさむ可能性があるものの、許容範囲に収まるとしている。

 7-9月期にはAI活用のコスト管理が奏功。GMVが大きく伸びる中で人件費を抑え、営業利益率は堅調だった。BOCIは2024年10-12月期と2025年には「Trip.com」の貢献度の上昇にもかかわらず、非GAAPの営業利益率が30%を上回ると予想している。

 BOCIはGMVの拡大を受けたスケールメリットを背景に、利益率が予想を上回ったとして、2024-2026年の予想EPS(1株当たり利益)を8-10%増額修正した。競争環境が予想より穏やかである上に、中国人消費者の体験型消費志向やアウトバウンドの伸び、「Trip.com」の勢いが追い風になると指摘。SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。

 レーティング面の潜在リスク要因としては、旅行需要の鈍化、予想外のアウトバウンド関連政策の引き締め、一段の競争激化、コスト増などの可能性を挙げている。