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著者の土信田 雅之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
【テクニカル分析】今週の日本株 なるか?日経平均4万円台の定着~不確実性のトランプと企業決算とFOMC~<チャートで振り返る先週の株式市場と今週の見通し>

 先週末1月24日(金)の日経平均株価は3万9,931円で取引を終えました。前週末終値(3万8,451円)からは1,480円高、週間ベースでも2025年相場に入って初めての上昇となりました。

 前回のレポートでも指摘したように、先週の国内株市場は、トランプ政権2.0のスタートと、日銀の金融政策決定会合の「2つの試練」を迎えたわけですが、その初期反応は、週末の日経平均終値が示す通り、良好だったと言えます。これに加え、米トランプ大統領が米国内で巨額のAI投資計画が行われる旨を表明したことも、日米の株式市場にとって追い風となりました。

 さらに、翌25日(土)の朝方に取引を終えた、日経225先物取引のナイト・セッション(夜間取引)でも、大阪取引所の終値が4万0,480円と一段高していることもあり、今週は、日経平均の4万円台乗せの定着や、その先の上値トライの動きが出てくるかに期待したいところではあります。

 その一方で、日米で相次ぐ決算をはじめ、FOMC(米連邦公開市場委員会)やECB(欧州中央銀行)理事会といった金融政策イベントが予定されているなど、先週に負けないぐらい注目イベントが多く、その都度出てくる材料に反応しながら、株価の方向感を探って行くことになりそうです。

日足チャートの日経平均は上値を試しやすい?

 早速、いつものように、先週の日経平均の値動きからチェックして行きます。

図1 日経平均(日足)の動き(2025年1月24日時点)

日経平均(日足)の動き(2025年1月24日時点)
出所:MARKETSPEEDII

 冒頭でも触れた通り、先週の日経平均は週を通じて上昇基調が続きました。上の図1でも、日経平均が前週末17日(金)の安値(3万8,055円)から、週末24日(金)の高値(4万0,279円)まで、ちょうどレンジ相場の下限から上限まで駆け上がっていた様子がうかがえます。

 また、5日移動平均線に注目すると、下向きから上向きへクイっと転じていることが確認できますが、チャートを昨年9月まで遡ると、似たような形状があったことが読み取れます。

 あくまでも経験則ではありますが、短期の移動平均線がこのような形状となった場合、買いの勢いが結構続くことが多く、足元の日経平均は上を目指しやすい形状となっています。週初の段階で昨年12月27日の高値を超えることができれば、「もうひと伸び」できるかもしれません。

 次に、ローソク足の並びに注目すると、「試練」とされていた、トランプ政権2.0のスタートを受けた21日(火)と、日銀金融政策決定会合の結果が公表された24日(金)は、ともに陰線となっています。

 そこで、この21日(火)と24日(金)の動きについて、もう少し細かく見て行きます。

図2 2025年1月21日の日経平均(1分足)の動き

2025年1月21日の日経平均(1分足)の動き
出所:MARKETSPEEDII

 まずは、米トランプ大統領の就任式と演説を終えて迎えた21日(火)です。上の図2はこの日の日経平均の1分足チャートになります。

 トランプ大統領の就任演説では、市場が警戒していた関税政策について、具体的に踏み込んだ発言が無かったことが好感され、21日の日経平均は一段高で始まり、取引開始直後の9時3分に3万9,238円の高値をつけました。

 ただし、10時になる少し前に、「トランプ大統領がカナダとメキシコに関税をかけるべく調査を命じた」と報じられたのをきっかけに、相場が一転して下方向に舵を切り、一気に3万8,643円の安値まで下落していきました。

 しかしながら、「すべての国に一律に関税を賦課する」という懸念がひとまず後退していることは安心材料としては大きく、相場はすぐに持ち直して、前日比からのプラス圏に戻し、3万9,000円台を維持して取引を終えました。

 続いて、日銀金融政策決定会合の結果が公表された24日(金)の動きについても確認していきます。

図3 2025年1月24日の日経平均(1分足)の動き

2025年1月24日の日経平均(1分足)の動き
出所:MARKETSPEEDII

 この日、午前中の日経平均は概ね4万円台を維持する展開となっていましたが、前場と後場とのあいだの昼休み中に、日銀が市場の予想通り、0.25%の利上げを決定したと報じられました。

 日経平均は後場の取引開始直後に4万0,279円の高値をつけたものの、その後は下落に転じて、前日比でマイナス圏に沈む展開となりました。ただ、13時27分に安値(3万9,806円)をつけてからは、前日終値(3万9,958円)を意識した攻防となり、結局、終値ではマイナスだったものの、前日比20円ほどの小幅安にとどまっています。

 このように、「試練」とされていた、21日(火)と24日(金)はともに陰線となりましたが、日中の取引時間の値動きを見る限りでは、相場のムードを大きく損なうことはなかったと言えそうです。

目先の相場のシナリオと目安は変わらず。

 先週の日経平均の値動きに大きな波乱がなかったこともあり、目先の相場シナリオと株価の目安については、前回の見通しから変更をしなくても良さそうです。

図4 日経平均(日足)の動き その2(2025年1月24日時点)

日経平均(日足)の動き その2(2025年1月24日時点)
出所:MARKETSPEEDII

 上の図4は日経平均の日足チャートに、2つのトレンドラインを描いたものです。

 ひとつは、昨年7月11日と10月15日の高値どうしを結んだ「上値ライン」、そしてもうひとつは、昨年8月5日の安値から10月15日の高値までの上昇幅を基準とした上向きの「ギャン・アングル」です。

 日経平均の動きをこれらのトレンドラインと組み合わせて見てみると、「上値ラインをサポートにして株価が反発し、トレンドの方向は2×1ラインと3×1ラインに挟まれた範囲まで戻した」ことが読み取れます。

 今後も相場の勢いが続くのであれば、株価は2×1ラインを目指すことになり、その途中で、昨年3月22日の高値(4万1,087円)があり、そして、昨年7月11日の高値(4万2,426円)をクリアできるかが、チェックポイントになります。

 反対に、株価が下落してしまった場合には、先週上抜けた3本の移動平均線(25日・75日・200日)や上値ラインがサポートの目安として意識されることになりますが、今週予定されているイベントでネガティブサプライズがあった場合には、4×1ラインが視野に入ってくることになります。