※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の土信田 雅之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「【テクニカル分析】今週の日本株 今年の「掉尾の一振」への期待度は?~2024年は株価上昇の意味が問われる年末に~<チャートで振り返る先週の株式市場と今週の見通し>」
先週末12月20日(金)の日経平均株価は3万8,701円で取引を終えました。前週末終値(3万9,470円)比では769円安、週間ベースでも3週ぶりの下落に転じています。
日米の金融政策イベントという12月相場の「ヤマ場」を通過した先週でしたが、大納会が来週の30日(月)の1日のみの取引となるため、実質的に今週が2024年相場の最終週となり、一気に年末モードへと突入します。
株式市場では例年、年末を迎えるタイミングで、「掉尾の一振(とうびのいっしん)」と呼ばれるキーワードを耳にする機会が増えます。掉尾の一振とは、年末にかけて株価が上昇しやすいという経験則(アノマリー)です。
そこで、今回のレポートでは、その掉尾の一振への期待度について考えて行きたいと思います。
日経平均の見た目は変わらず。ただし、、、
まずは、いつものように足元の日経平均の状況からチェックしていきます。
図1 日経平均(日足)の動き(2024年12月20日時点)
上の図1で先週末時点の日経平均の株価水準(3万8,700円)を確認すると、株価の位置的には、10月から続くレンジ相場(3万8,000円から4万円)の範囲内にとどまっており、ここ2カ月以上にわたって見てきた「いつもの相場の景色」という印象になっています。
確かに、株価位置はあまり変化していないのですが、日経平均は週を通じて前日比で下落する日々が続いたり、週末20日(金)時点で6日続落となったほか、今週5営業日のうち、3営業日が「安値引け」だったりと、値動きは弱かったと言えます。
今のところ、75日移動平均線がサポートとなっていますが、ココを株価が下抜けしてしまった際には注意が必要です。
図2 日経平均(日足)の動き その2(2024年12月20日時点)
次に見て行くのは上の図2で、先ほどの図1に複数のトレンドラインを書き加えたものです。
このチャートは前回のレポートでも紹介したのですが、その際に、ポイントとして挙げていたのは以下の2点です。
(ポイント1)8月5日と10月15日を起点とした上向きのギャン・アングルの「2×1」ラインに沿った動きを維持して4万円台トライができるか?
(ポイント2)株価が下落した際、7月11日と10月15日を結んだ「上値ライン」をサポートにできるか?
その結果として、先週の日経平均はポイント2の動きに近いものとなりました。今後は、上値ラインから反発して再び「2×1」ラインに向かって上昇できるか、もしくは、株価が「上値ライン」や移動平均線を意識しながら「3×1」ラインへと向かっていくのかが焦点になります。
株価の現在位置からすると、「2×1」ラインよりも「3×1」ラインの方が近いため、目先は下値が意識されやすいと思われますが、「3×1」ライン自体が足元でレンジ相場の範囲内に入ってきたことや、「4×1」ラインを目指すほど相場の地合いが悪化していないことを踏まえると、「もうしばらくレンジ内で値固めすることができれば、株価は再び上値を試しやすい」状況と考えることもできます。
TOPIXの判断は強弱が分かれる格好
続いて、TOPIX(東証株価指数)の動きも見て行きます。
図3 TOPIX(日足)の動き(2024年12月20日時点)
上の図3はTOPIXの日足チャートですが、日経平均が一定の値幅のレンジ相場を続けていたことに対して、TOPIXはいわゆる「上昇ウエッジ」型の保ち合いを形成し、先週末にかけてこの上昇ウエッジの下限の線を下抜けしつつあるように見えます。
上昇ウエッジとは、「株価がもみ合いを繰り返しながら、上値を切り上げる線が下値を切り上げる線の角度よりも緩やかになっている」形状のことを指し、見た目の印象は強そうなのですが、実際には下落することの方が多いとされています。「頑張って下値を拾っているのに、それに見合うだけの株価上昇とならず、やがて買い方が力尽きて行く」という考え方が背景にあります。
確かに、TOPIXにおける上昇ウエッジの存在は株価下落のサインとなる可能性がありますが、上昇ウエッジを形成してきた時期の株価と75日移動平均線の関係性を見て行くと、9月から10月にかけては、「移動平均線が下向きの中で株価の抵抗」として機能していたのが、11月の半ばを過ぎると、「移動平均線が上向きの中で株価のサポート」として機能しつつあり、こちらは前向きな兆候です。
それだけに、TOPIXの強弱の判断は、株価が75日移動平均線を維持できるかが重要なカギになります。
なお、図2で見てきた日経平均のトレンドラインをTOPIXに当て嵌めたものが下の図4になりますが、基本的な見方は日経平均と同様に、上向きのギャン・アングルの「2×1」ラインと「3×1」ラインを意識しながら方向感を探っていくことになります。
図4 TOPIX(日足)の動き その2(2024年12月20日時点)