今日の為替ウォーキング

今日の一言

なぜ労働が賛美されるのか。それは、富裕層が貧民に不満を抱かせないために労働の美徳の価値観を植え付けたことが理由である- バートランド・ラッセル

Smooth Operator

 雇用統計は、数ある米経済データの中でもトップランクに位置する重要指標で、マーケットの注目度も常に高く、FRBの政策決定にも強い影響を与える。しかし、雇用統計はデータの精度が低いことでも知られている。

 米国の重要な経済指標の多くはアンケート調査に基づいている。一般に、家計調査の回答率が60%を下回るとそのデータの信頼性は低くなるといわれるが、例えばCPI(消費者物価指数)の回答率は55%だ。NFP(非農業部門雇用者数)になるとさらに低く、40%程度しかない。単純に言えば米国企業の半数以上の企業データが欠落していることになる。それだけではなく、コロナ中から急速に増加した副業やスタートアップの小さい会社の雇用状況も統計には正確に反映されていない。

 雇用統計のアンケート調査の問題として雇用者増加の推定のために使用するサンプル回答が、(当然だが)存続している事業所のものに偏っていることがある。倒産企業からのデータがほとんど得られないことで、実態よりも「失業者は少なく、就業者は多い」結果になるため、雇用市場の本当の弱点が見過ごされているおそれがあるのだ。

 雇用市場の過熱状態はすでに消えているかもしれないのに、データ重視主義を掲げるFRBが雇用統計を信じるあまりに、利下げ判断のタイミングが遅れた可能性がある。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成

今日の注目テクニカルレベル

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ヒートマップ分析

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