クイズの正解は:【1】

 正解は【1】です。

【1】株価1,200円まで上昇して売買成立。その後1,200~1,250円で推移。

 買い付け価格1,400円でTOBが実施されているのに、なぜ1,200円で売買が成立するのでしょうか? その理由は、B社がA社の51%しか買い取らないことにあります。

 B社は、A社の51%しか買いません。従って、TOBに応募しても、全部買い取ってもらえるとは限りません。発行済み株式の約半分(51%)だけ買うわけですから、発行済み株式の全てがTOBに応募してきた場合、その半分しか買い取らないことになります。

 A社株を1,200円で2,000株買い、全てTOBに応募したとしたらもうかるでしょうか? 買い取ってもらえるのは1,000株だけかもしれません。

 買い取ってもらえる1,000株は、1株1,400円で売却できるので、200円の売却益が得られます(売買コストは勘案せず)。

 ところが、買い取ってもらえない残り1,000株はどうなるでしょう? TOBが終わった後、A社株価が元の1,000円に戻ってしまうとしたらどうでしょう? 200円の含み損を抱えることになります。200円の売却益を得て、200円の含み損を抱えると、トータルでは損も得もしません。

 つまりTOBが終わった後に、株価が元の1,000円まで下がると予想されるならば、TOB期間中、1,200円あたりで売り買いが交錯することになります。

 以上は、TOBが成立することを前提とした計算です。もし、応募者が少な過ぎて、TOBが不成立となったらどうでしょう。TOB不成立が発表されるとすぐ、株価は1,000円前後へ急落するでしょう。そうなると、1,200円で買ってTOBに応募した投資家は、含み損を抱えることになります。

 ただし、このTOBが不成立になる可能性は低いと考えられます。以下二つの理由によります。

【1】買付け価格(1,400円)は、直前の株価(1,000円)に40%もの高いプレミアム(上乗せ幅)を付けている。

【2】友好的TOBで、A社経営陣も賛同を表明している。

 以上が、全株を買い取らず、51%のみ買い取るTOBでの計算です。

 もし、B社がA社の全株(100%)取得を目指していて、TOBに応募した全株を買い取ると発表しているならば、どうでしょう。それならば買い取り価格の1,400円に近づくまで、A社株を売る人はいません。つまり、全株買い取りと発表されていれば、正解は【2】となります。

【2】株価は1,300円まで上昇。ストップ高買い気配となって、売買成立せず。次の日1,380円まで上昇して売買成立、その後1,380~1,400円で推移。

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