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「金は続落、原油は続伸」
江守 哲
コモディティ デイリーコメント
貴金属、原油を中心とした商品(コモディティ)マーケットの要点をまとめたデイリーコメント。コモディティマーケットに精通した江守氏の鋭い着眼点に注目。

「金は続落、原油は続伸」

2017/7/3
この結果、6月は月間ベースで今年初めて下落した。主要中央銀行が緩和策の終了を示唆する発言を繰り返していることが国債利回りを押し上げており、金利を生まない金を圧迫しているといえる。
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金相場は続落した。

この結果、6月は月間ベースで今年初めて下落した。主要中央銀行が緩和策の終了を示唆する発言を繰り返していることが国債利回りを押し上げており、金利を生まない金を圧迫しているといえる。

金相場は年初の上昇で、今年上半期全体では8%近く上昇したが、第2四半期は失速して0.4%安となっている。3月の水準からほとんど動いていない格好である。また6月の1カ月間では2%近い下落だった。

ユーロ圏や英国、カナダの中央銀行は金融危機以来の量的緩和策を終了し、金利を段階的に正常化すると示唆している。ECBは金融引き締め策に依然として慎重にみえるが、トレンドはタカ派的である。また、BOEやカナダ中銀が同様に引き締めの可能性を示唆したことはサプライズであった。

米国の利上げの方向性に他の中銀が方向性を合わせることで、各国中銀の政策の方向性が同じであるとの印象を市場に与えることが目的であるように思われる。そうであるとすれば、金相場の下落を懸念する必要はないだろう。これまでのドル高基調の是正につながることになり、むしろドルバリューでは金は上昇しやすくなる。金利上昇は確かに上値抑制につながる可能性があるものの、今後原油相場が上昇し、インフレ率の上昇が早まれば、むしろインフレヘッジとしての買いを期待できる。いずれにしても、金相場は下げにくいといえるだろう。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は、6月23日の853.98トンから6月30日には852.50トンに小幅減少。COMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは、6月27日時点で13万1,672枚の買い越しとなり、前週から1万9,003枚減少した。買いポジションが1万6,034枚の減少し、売りポジションが2,969枚増加したことで、ネットの買い越しポジションが減少した。

金相場は6月21日から反発したものの、26日に再び急落したことで、結果的に投機筋はさらに買いポジションを減らす動きに出たと考えられる。今後は1,240ドル台を固めることができるかに注目することになろう。ただし、下げても1,220ドル台では下げ止まるとみている。

一方、仮想通貨と金の関係に関する報道が複数みられる。この点については、いずれ詳しく解説することとしたいが、金を裏付けとする仮想通貨が拡大すれば、金相場には相当の強材料になるだろう。

非鉄相場は上昇基調を継続。

銅は在庫が増加したが、それ以外は減少しており、在庫の減少傾向が続いているといえる。アルミが1,920ドルを超えて、基調をさらに強めている。銅は5,950ドルを超えて、いよいよ6,000ドルの大台が視野に入ってきた。ニッケルも高値を更新し、懸案となっていた9,250ドルを明確に超えたため、目先は上昇基調に入りつつある。これで9,800ドルを超えると、いよいよ1万ドル回復が視野に入ってくる。亜鉛も上昇幅が小さくなっているが、基調は強く高値を更新している。鉛はこれまでの急伸の反動で下げたが、それでも上昇基調は維持されている。

指摘してきたように、この最近の上昇はそれまでの下げが異常だったことを示すものであり、ようやく正常な動きに戻しただけともいえる。これからが本場であり、非鉄相場はあるべき水準に回帰していくことになりそうである。米中の経済指標の動向にも注意を払いつつも、強気なスタンスを変える必要はないだろう。

原油は7日続伸。

WTI原油はようやく46ドル台を回復した。今年上半期のWTI原油の下落率は14%を超え、1998年上半期の19%下落以来の大幅な下落率だった。年初からここまで下げたのは、2001年以降で初めてである。いかにこれまでの下げが異常だったか、である。

最近の上昇が続いている原因は、今後の米国の産油量の増加ペースの鈍化であろう。最新の米国内石油掘削リグ稼働数は24週ぶりに減少に転じた。また、中国の6月の製造業購買担当者景況指数(PMI)により、石油需要の拡大期待が高まったことも背景にあるだろう。

これまで市場では、OPEC加盟・非加盟国が取り組んできた協調減産が、米国の増産により効果を発揮していないとの見方が原油相場を押し下げてきた。市場はいまだに需給の均衡点を探しているようだが、在庫は徐々に減少していると考えられる。

また、投機筋のNYMEX・WTI原油先物・オプションの買い越しは、昨年9月下旬以来の低水準となった。売りポジションは昨年8月中旬以来の高水準に積み上がっている。さすがに下値を売り過ぎたようである。彼らの多くはファンダメンタルズを見ていない。したがって、下げが続くと、機械的に売ってしまうことになる。そのため、フェアバリュー以下になっても売り続けるため、安値で売りポジションを積み上げることになる。その結果、戻り局面では買い戻しが入り、これが相場水準を大きく押し上げることになる。

ロイター調査では、市場平均では今年のWTI原油とブレント原油の価格見通しは、前月から2ドル超引き下げられたようである。こうなると、いよいよ陰の極ということもできる。市場の動きに合わせて予測を切り下げる、アナリストたちの悪い癖といえるだろう。それはともかく、米国内石油掘削リグ稼働数は前週比2基減の756基となり、1月以来の減少となった。前年同月の341基の2倍超の水準であることは確かだが、それでも増加傾向に一定の歯止めがかかったことは、45ドル以下が続くと操業を維持できないリグがあるということが明白になったといえる。また、産油量も先週発表分は減少していた。やはり、安値では増産できないことがうかがえる。この傾向がしばらく続くようだと、いよいよ原油相場はある程度の幅で上昇せざるを得ないだろう。

市場では、少なくとも19年までは掘削活動の回復傾向が続くと予想しており、今回の減少は一時的なものにすぎないとの見方もある。しかし、1~3月は137基のリグの増加だったが、4~6月期は原油価格の下落を受けて、増加は94基増にとどまっている。これはきわめて重要なポイントであろう。

一方、米エネルギー情報局(EIA)によると、4月の米国内のガソリン需要は前年同月比0.4%増の日量924万8,000バレルだった。前年比での増加は今年に入って初めてである。さらに、米国の石油需要全体は1.4%増の1,952万7,000バレルとなっている。

米国内のガソリン消費量は世界全体の1割を占めており、12年から毎年増加している。今年1月は前年同月比1.9%減、2月は2.4%減、3月は0.4%減だったが、ここにきて増加傾向が顕著になっている。景気動向との関係もあるが、GDPが伸び悩んだ第1四半期に比べ、第2四半期は堅調だったとみられている。

結果的に、ガソリン需要が増加していたことを市場が認識し、実際に在庫調整が進んでいたことを確認すれば、原油相場が現在の水準で推移している理由はないだろう。

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