ドラゴン桜』などの著書で知られる三田紀房氏。連載当初から大きな話題となった投資マンガ『インベスターZ』は、中学1年生の主人公・財前孝史が、ひょんなことから投資知識を身につけ、数億円の資産を運用しながら社会と、そして自分の人生と深くかかわっていく壮大なマンガです。

 トウシルでは、この『インベスターZ』の番外編の書下ろしマンガを短期連載。さえない人生を予感して腐っている先輩に、財前孝史は何を説くのか…。先輩と財前の対話から、何から手をつけていいのかすら分からない若者が、まず何をすべきか、何を考えるべきかが見えてきます!

 全5話、不定期・金曜日に更新中です。要チェック!

投資マンガの金字塔『インベスターZ』。投資を始める前の人、投資でなかなか勝てない人必読!

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お金のある人生=幸せって本当?

~To Be Continued~

 高校の家庭科に加わった金融教育に合わせ、「人生を変える!令和の投資教育」として始まった、投資マンガの金字塔『インベスターZ』の番外編。

 第3回目では、この話のキーポイント「幸せになれるかどうかは、どうお金を使うか」について、掘り下げて考えていきます!

 今回も、この企画にも関わっていただいている元トレーダーで、社会的金融教育家の田内学さんに詳しいお話をうかがってみました。

 私たちは、お金を稼ぐことに価値がある。お金にならないものを、「非生産的」ととらえるところがあります。でも、子育てをしたり、友達と会って話したりすることは、非生産的でしょうか?

 子育てや家事は「生産」活動ではないとみなされますが、そんなわけはありません。社会的にも、とても大切な活動です。

 今回は、私たちが知らぬ間に陥ってしまう手段(お金)と目的(幸せ)が逆転してしまうことについての話をしたいと思います。

お金の総量で豊かさを測る落とし穴とは?

 そもそも、お金を使うとはどういうことだと思いますか?

 今の時代、お金こそが豊かさだと感じてる人も多いのではないでしょうか。

 しかし、お金は目的ではありません。ただの道具です。

 お金は、自分や家族などの仲間内では解決できないことを外注して解決するための道具なのです。例えば、シッターさんに子どもを預ける、病院にかかる、レストランでご飯を食べる、便利家電を購入する……。

 人と人のつながりが強い昔の地域社会では、仲間の範囲が広く、解決できることが多くなるため、お金を使う必要があまりありません。農作物のお裾分けがひんぱんにあったり、子どもを見てあげたり、生活の相談を周りの人が聞いてあげたり…。

 仲間内では解決できない問題に直面したときに、外部にお金を支払って解決してもらいます。家族などの仲間の範囲が狭くなると、より多くのお金が必要になります。家でおにぎりを作ってくれる人がいなくなれば、コンビニで買うしかなくなるのです。

 社会学者の宮台真司さんによると、現代社会は包摂性を失い、金の切れ目が縁の切れ目となる人間関係ばかりになっているそうです。

 お金を使う経済活動が中心になったせいで、お金のやりとりがある活動のみを生産性のある活動と考えるようになっています。事実、私たちは、使ったお金の総量で生活の豊かさを測っています。

 それがGDP(国内総生産)です。

 しかし、ここには二つの落とし穴があります。

 一つめは、お金の量が、そのまま幸せの量を示すわけではないこと。

 第一回でもお話しした通り、重要なのは、どれだけ社会に「価値」が生まれたか、つまり、そのお金の移動を通して、どれだけ社会の「幸せ」の総量が増えたかです。

「経済をまわすためにお金を使う」と言いますが、お金を使っても誰も幸せにならなければ意味がありません。それは第一回でいう、株の転売を繰り返す行為と一緒です。

 そして、もう一つは、GDPに含まれない子育てや家事などの生産活動の存在を忘れてしまうことです。仲間内で助け合う活動は、お金のやりとりが無いので、GDPには含まれないのです。

 このことを忘れると、お金を使う量によって幸せが決まるように思えてしまい、自分の幸せが何なのかを考えずに、ひたすらお金を増やすことを考えます。道具であるはずのお金が目的化してしまうのです。

「本当に幸せになっているのか」を考えて、お金を使う

 現代のたくさんの人が陥りがちな、この状況から抜け出すには、お金を使うことを考える前に、「自分は何に幸せを感じるのか」を考えることです。そうすると、自分のお金と時間をどのくらいの割合で使えば良いのかが、見えてくるのだと思います。

 逆に、働いてお金を稼ぐときにも同じことが言えます。

 お金を稼ぐ人もまた、相手の「幸せ」や喜ぶことを考えています。極端な話かもしれませんが、世界の富豪ランキングトップ10に入っているAmazonやマイクロソフトなどの創業者たちは、「これからの社会にこういうものが必要だ」と思い、世の中の人たちが便利になった(=「幸せ」を感じている)から収入を得られています。

 今は、私たち消費者が便利さに価値を感じているからこのようなランキングですが、一人一人が真剣に「幸せ」を考え、何に「幸せ」を感じるかが変わっていくと、このランキングにも変化が出るかもしれません。

 欧米では環境に配慮しない商品が年々消費者から選ばれなくなっているように、消費者が自分の価値観を認識することは、社会をよりよくすることにもつながっていくのではないでしょうか。

 だからこそ、まずは自分だけでも、「本当に幸せになっているのか」を考えて、お金を使っていく。

 その考え方が社会に浸透し、「お金」が幸せのための手段として使われるようになっていくと、みんなの支持に合わせて、社会がまわっていき、同じ金額がまわっていても、「幸せ」の総量が増える社会になっていくのです。

インベスターZ 第13巻 credit 112 ©︎Norifusa Mita / Cork

田内学(たうち・まなぶ)
お金のむこうに人がいる 元ゴールドマン・サックス金利トレーダーが書いた 予備知識のいらない経済新入門著者。

 1978年生まれ。東京大学入学後、プログラミングにはまり、国際大学対抗プログラミングコンテストアジア大会入賞。同大学院情報理工学系研究科修士課程修了。

 2003年ゴールドマン・サックス証券株式会社入社。以後16年間、日本国債、円金利デリバティブ、長期為替などのトレーディングに従事。日銀による金利指標改革にも携わる。2019年退職。現在は、社会的金融教育家として、学生や社会人向けの講演・執筆活動や財政政策などの政策提言を行なっている。

Twitter:@mnbtauchi
note:note.com/mnbtauchi/
Instagram:@tauchimnb

(構成:片岡由衣)

三田紀房公式サイト

『インベスターZ』とは!

『モーニング』(講談社)にて2013年28号から2017年29号まで連載され、100万部のベストセラーとなった投資マンガ。作者は『ドラゴン桜』などでも知られる三田紀房氏。

 主人公の財前孝史は中学1年生。北海道の進学校である道塾学園に満点かつトップの成績で入学する。野球部に入ろうとしていた財前は、校内の図書館奥の地下室に連れこまれる。

 秘密の地下室で麻雀をして遊んでいた先輩たち5人は、なんと、学費を無料にするため、道塾学園の資産3,000億円を投資で運用し、学校の運営資金を稼ぎ出す「投資部」の面々だった!

 成績トップの入学者を入部させる、という代々のしきたりに従って、半ば無理やり、得体のしれない「投資部」に所属することになった財前。投資のイロハを先輩から教わりながら、自分なりのロジックで投資を開始する。しかし、道塾学園の創設者一族である、アメリカ在住の高校2年生・藤田慎司と口論になり、投資部の存続を賭けた三番勝負を行うことに。最初の勝負はFX(外国為替証拠金取引)取引。元手は1億円、期間は3日間で、元手を増やしたほうが勝ち、というルールだが、アメリカ在住で為替通、しかもFX取引に強い慎司に、はたして財前は勝利することができるのか!?

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