厚切りジェイソンさんプロフィール

1986年、アメリカ・ミシガン州出身。17歳で、飛び級でミシガン州立大学へ入学後、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校へ進み、エンジニアリング学部コンピューターサイエンス学科修士課程を修了。2005年にビジネスで訪日し、日本に1年間滞在。このとき『エンタの神様』で、日本のお笑いに興味を持つ。帰国後、米企業に転職するも、日本でお笑い芸人をやりたい、という夢を捨てがたく、日本法人設立を予定していたIT企業に転職し、2011年に再度、渡日を果たす。会社員として働きながら、2014年にお笑い芸人としてデビュー。芸歴5カ月で『R-1ぐらんぷり2015』決勝へ進出。現在、IT企業の役員として勤務しながら、お笑い芸人として、バラエティ、CMなどで活躍中。
出演中の番組:NHK-Eテレ「えいごであそぼ with Orton」、「Why⁉プログラミング」など
近著:『日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy』など。2021年11月にぴあから出版した『ジェイソン流 お金の増やし方』が、発売半年たたず、電子書籍を含め38万部を突破。

――『ジェイソン流 お金の増やし方』が売れていますね! 「お金持ち」になるのは難しいと思っている人でも、明日からでも実践できるヒントが満載で、とてもためになる本でした!

厚切りジェイソンさん ぜひマネしてください!

――お子さんにお金の使い方を教える方法が、いちばん印象に残りました。お手伝いをした報酬金額をお小遣い帳に記載して、年始には合計額の10%の金額をあげる、というやり方。あれは年利10%で運用しているのと同じですね。

厚切りジェイソンさん そうです。途中で欲しい物があったら自由に引き出せるんだけど、無計画に使ってしまうと、元金が減って、お年玉の年利分も少なくなるし、翌年の年利分も減ってしまうから「それは本当に欲しい物かどうかをしっかり考えなさい」、と教えています。

 お年玉を渡すときも、「このお金は“パパからもらった”んじゃなくて、“自分で利益を出した”分だよ」と教えています。 

「家族での金銭感覚のすり合わせも大事! 金銭感覚の不一致は、アメリカの離婚原因の上位です。僕のいとこも、レジ前のキャンディを衝動買いしたことがきっかけで、結局離婚になっちゃった。家族だからこそ、お金の使い方をよく話し合うことが大切!」

――複利の重要性もお子さんたちは理解している、と書いてあり、びっくりしました! 2022年から、日本の高校生は、家庭科の授業で、投資教育が始まるのですが、アメリカではそんなに早くからお金や投資についての教育が進んでいるんですか?

厚切りジェイソンさん 僕はアメリカを離れてずいぶんたつので、今のアメリカの教育がどうなっているのかはよく知らない。でも、僕が子供のころは、特に投資教育を受けたということはありませんでした。算数の先生が、たまたま、授業で計算問題に「株」を題材にして教えてくれたんですが、それも単なる計算問題で、株の仕組みについて教えてくれたわけじゃない。

――2022年から、高校の家庭科の授業で、投資教育が始まるんです。これが高校の教科書の例です。

いくつかの教科書をもとに、トウシル編集チームで作成

――だいたいこんなことが書いてあるんですが…。高校の授業でも、暗記メインで、青地の部分が空白になって、「当てはまる言葉を入れなさい」というようなテストが出るんじゃないかと……。

厚切りジェイソンさん あぁ~! ホントにそうなりそう! 英語の勉強と同じで、目標がテストや受験に合格することになっちゃったら、合格した後、もう勉強しないでしょ。高校生の投資教育を、点数のための勉強じゃなくて、実用のための勉強にするためには、学校に頼りきりじゃなくて、まず親が自分でやってみせるべき。投資も、節約も、親がやってないことは子供もやらないよ! 将来、子供に不安な老後を過ごさせたくないなら、まずは親がやってみせるべきだと思う。

――ジェイソンさんがお金や投資に関して学んだり、興味を持ったのはいつごろですか?

厚切りジェイソンさん 最初に入った会社が、給料から天引きしてファンド積み立てをしてくれる会社で、それが投資を始めた最初です。

――日本で言う企業型DC(確定拠出年金)ですね。いい会社ですね。

厚切りジェイソンさん アメリカの会社のほとんどが、こうした制度を標準で設定しているはず。そうでないと優秀な人材が集まらないからね。僕も最初は深く考えずに、会社の制度だから利用していただけ。だから、投資やお金に関する教育は受けたことがない。それは、学校じゃなくて親が教えることだと思うよ。

――ジェイソンさんは子供のころ、ご両親からお金に関することを教えてもらいましたか?

厚切りジェイソンさん 改まって、「お金とどう付き合うか」という形で教わったことはないです。でも、両親の行動を見ていれば、自然と身につくよね。僕の両親は、外食もあまりしなかったし、できるだけ安いものを買って無駄遣いしなかった。そういうのを見ていると、自然と自分も無駄遣いはしなくなる。

 アメリカには日本のように「定年」という制度がないからね。アメリカは医療費も高いけれど、まず医療保険がものすごく高くて、年間100万円以上かかるんです。アメリカでは「老後に1億円が必要」と言われています。

 だから、1億円持っていないと、死ぬまで働き続けないといけない。いつかは僕も1億円をつくらないと、とは思っていて、「よし、やろう」、と思ったときに、僕の投資意識は変わったと思います。会社任せだった投資も、証券会社を変えて、得意のエクセルで金利を計算して、投資の方法も変えた。でも、両親から自然と受け継いだ、お金の使い方は変わらなかったね。

「日本では老後資金=2,000万円と言われているけれど、アメリカは1億円が定説。アメリカには、日本みたいに[長男が養ってくれる]という考え方もないから、自分のことは自分でやらないといけないんです」

――『ジェイソン流 お金の増やし方』には、投資方法はもちろんですが、具体的な節約の方法がたくさん書いてありました。お金の増やし方より、支出の減らし方が、大事なんだなと痛感しました。

厚切りジェイソンさん そう! お金は、どう稼ぐかより、どう使うか、いや、どう使わないかのほうが大事。みんな、どう収入を増やすかばっかり考えて、お金が増えたらその分、ぜいたくして使っちゃうでしょ。そんなことしてるとお金は増えないよ! 副業して収入を増やす前にやるべきことは、節約だよ。

 僕が怖いな~と思うのが、公園で子供が遊んでいるときによく見るシーン。周りのママ友が、自動販売機でジュースを何本も買うんだよ。一本150円くらいするヤツ。そんなの、安いスーパーで買って持っていけばいいのに、なぜだ?! 癖でモノを買っちゃいけない。モノの価値をまずは理解しなきゃ。そういうのは学校で教えることじゃないでしょ。親がやってみせないと身につかないよ!

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