ECB政策方針受け、金は3週間ぶりの安値に下落

 金相場は3週間ぶりの安値に下落。ECB(欧州中央銀行)理事会で資産買い入れを縮小し、金融緩和政策を延長する方針を決めたことを受けて、ユーロが対ドルで下落したことで、ドル建て金相場に割高感が生じたことが背景にある。

 また、次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長人事に関して、イエレン現議長が候補から外れるとの報道や、イエレン氏よりも速いペースで利上げを実施する人物を選ぶ可能性があるとの観測が強まっていることも、ドルの上昇を促している。

 トランプ大統領は11月上旬に予定されるアジア歴訪前に候補を発表する見通し。

 米政治メディアのポリティコは、トランプ大統領と定期的に協議する関係者の話として、指名候補がパウエルFRB理事とテイラー・スタンフォード大教授に絞られたと報じている。

 パウエル氏はイエレン路線踏襲でややハト派、テイラー氏が選出されれば利上げペースが速まるとみられている。

 また、米下院が2018年度予算の大枠を定めた予算決議案を可決。予算決議の成立でトランプ政権が目指す税制改革が前進し、米長期金利が小幅上昇したことも、ドル高につながり、金相場を圧迫した可能性がある。

 一方、ECB理事会では、量的緩和策について来年から資産購入額を月600億ユーロから300億ユーロに減額した上で、9月まで継続する方針を決定した。購入額の縮小幅は市場予想通りだったが、来年9月以降も再延長の余地を残したことから「ハト派的」な結果と受け止められてユーロは急落した。1日の下落としては2016年6月以来の大きさだった。

 このユーロ売りに押される格好で金相場も下落。声明文では必要に応じて期間をさらに延長する可能性に触れた文言が残され、新たな期限として示された2018年9月からの再度の延長に含みを持たせている。

 ECBのドラギ総裁は「インフレ率が上昇している明確な兆候はない」と強調し、「大規模な金融刺激が依然として必要」と言明している。

 一方、GFMS(ゴールド・フィールズ・ミネラル・サービシズ)は四半期レポートで、金価格は2018年に5年ぶりの高値をつけるとの見通しを示した。ドル高や米利上げ見通しを受けて、金価格は1,300ドルを下回っているが、年内に再びこの水準を超え、2018年には1,450ドルに向けて上昇するとしている。さらにGFMSは、過去最高値を更新している米独などの主要株式市場におけるリスクを挙げ、一部投資家は資産を金に移すことになると観測した。

 

アルミは強い動きで高値更新

 非鉄相場はまちまち。LME(ロンドン金属取引所)在庫はすべての銘柄が減少した。

 アルミは大幅続伸。一時2,215ドルまで上昇し、きわめて強い動きで高値を更新した。銅は小幅続落で7,000ドル絡みの動きが続いているが、基調は維持されている。ニッケルは反落し、1万1,850ドルのサポートを割り込んだ。目先は1万1,350ドル程度までの調整を見込むが、押し目は買われるとみられる。

 亜鉛は続伸しており、調整完了からの戻りが続いている。鉛は小動き。下値固めの動きといえるだろう。

 非鉄相場はドル高にもかかわらず堅調に推移しており、需給面の堅調さを市場は重視しているといえるだろう。

 

ブレント原油は約2年3カ月ぶりの高値

 原油は上昇。ブレント原油は約2年3カ月ぶりの高値をつけた。

 米国内で原油在庫が市場予想に反して増加し、産油量や輸出量が増加しているものの、サウジアラビアが供給過剰解消に取り組む姿勢を見せていることが材料視された。

 ブレント原油の終値は59.30ドルと、2015年7月3日以来の高値。一方、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油も52.64ドルと、4月17日以来の高値となった。

 サウジのムハンマド皇太子は、現在2018年3月に設定されている協調減産合意の期限を同年末まで延長することに賛成かと問われ、「あらゆる産油国、つまりOPEC(石油輸出国機構)加盟国や非加盟国と協力していくことを確約する。需給を安定させるあらゆる方策を支持する」と答えたと報じられた。

 また今月初めにはロシアのプーチン大統領が、2018年末までの期限延長の可能性に言及した。

 これらの発言を考慮すれば、2大産油国が基本的に、2018年末までの協調減産合意期限延長を希望していると理解できる。11月30日のOPEC総会で減産延長が決まる可能性は低いが、少なくとも延長することは決まっており、それをいつ決めるかだけの問題だ。

 サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は減産合意に関連し、「われわれが極めて柔軟で、選択肢は引き続きオープンだ。世界的な原油在庫を通常水準とされる5年平均に引き下げるため、できることは何でもすることを決めた」とし、世界的な供給過剰解消に向けた決意を繰り返し表明。同相は、世界の石油需要は2050年までに45%伸びるとの見通しも示す。
これらのサウジによる需給不均衡是正に向けた前向きな姿勢は、いずれ市場に反映されることになるだろう。

 WTI原油も終値で52ドルを超えてきた。ブレント原油に対して大幅に劣後しているが、いずれキャッチアップしてくるとみられる。

 一方、世界銀行は2018年の原油価格は平均で56ドルと予想。今年4月時点の60ドルを下方修正した。世銀は「OPEC加盟国と非加盟国がさらなる減産に合意しなければ、供給過剰が続く」とし、米国のシェールオイル増産の可能性も見込んでいるという。また、2017年の原油価格予想は53ドルと、4月時点予想の55ドルから引き下げている。