バフェットが保有する株式の王様はアップル

 バークシャーによるアップル株の保有株数は2020年9月末に9億4,000万株だったが、昨年、その一部を売却し、2020年12月末時点では約8億8,700万株に減少した。2021年3月末時点では3カ月前から変化はなく同数を保有している。

 評価額については、株価の上下によって変動はあるが、昨年はアップル株の上昇が続いていたこともあり、株数が減少しても評価額はかさ上げされる局面があった。

バークシャーが保有するアップル株の評価額と株数(四半期推移)

出所:石原順

 バークシャーのポートフォリオ全体に占めるアップル株の割合を評価額ベースで見ると、2021年3月末時点で4割を超えている。昨年は一時、5割近くに迫るところもあった。

ポートフォリオ全体に占めるアップル株の割合(評価額ベース・四半期推移)

出所:石原順

 バフェットはアップル株の保有について、今年2月に公開された「株主への手紙」で次のように述べている。

 バークシャーのアップルへの投資は自社株買いの力を鮮やかに物語っている。2016年後半からアップル株を買い始め、2018年7月初旬までに10億株強(分割調整済み)のアップル株を所有した。私たちが2018年半ばに購入を終えたとき、バークシャーの一般勘定はアップル株の5.2%を保有していた。

 その株式の取得に要したコストは360億ドルだった。それ以来、私たちはともに年間平均約7億7500万ドルの定期的な配当を享受しており、2020年には、保有株の一部を売却することで110億ドルを追加で手に入れた。この売却にもかかわらず、バークシャーは現在、5.4%の株式を保有している。これは、アップルが継続的に自社株買い戻しを行ってきたことで、現在の発行済み株式数が大幅に減少したためだ。

 自社株買いの損得勘定はゆっくりと効いてくる。時間が経つにつれてより効果的になる可能性がある。このプロセスは、投資家にとっては、素晴らしい会社の成長の一端を享受する簡単な方法を提供している。

 また、年次総会では「ブランドと製品、それは素晴らしい。人々にとって欠かせないものだ。昨年、私はいくつかの株を売ったが、それはおそらく間違いだった」と述べ、昨年、アップル株の一部を売却したのは誤りだと認めた。