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トランプ政策の柱、減税案に真実味。米国株高進み「金」は下落
江守 哲
コモディティ デイリーコメント
貴金属、原油を中心とした商品(コモディティ)マーケットの要点をまとめたデイリーコメント。コモディティマーケットに精通した江守氏の鋭い着眼点に注目。

トランプ政策の柱、減税案に真実味。米国株高進み「金」は下落

2017/10/23
・米国減税案に真実味。米国株高、金利上昇進み、金は下落
・非鉄は全体的に堅調
・クルド自治区原油輸出減響き、原油は反発
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米国減税案に真実味。米国株高、金利上昇進み、金は下落

 金相場は下落。米上院が予算決議案を可決し、減税への道筋が開かれたことを受けて、米国株や米金利が上昇し、ドルも買われたことが売りにつながった。
米上院は19 日に予算決議案を賛成51、反対49 で可決。今後10 年間で最大1 兆5,000 億ドルの減税実施への関門を突破したことになる。市場では、減税を背景に米国経済が堅調に推移すると見ており、これをドル買い材料としている。

 また、次期 FRB (米連邦準備制度理事会)議長人事について、トランプ米大統領がパウエル FRB 理事の任命に傾いているとの報道が聞かれたが、日々報道内容が変わっており、正式決定まで市場は振り回されることになるだろう。

 世界最大の金ETF(上場投資信託)である SPDR ゴールドトラストの保有高は10 月13日が853.13 トンで、20 日まで変動がなかった。米国株高で安全資産である金からの資金流出の可能性が想定されたが、投資家は金を売却せずに、保有し続けた格好だ。

 COMEX (ニューヨーク商品取引所)金先物市場での大口投機筋のポジションは、10月17 日時点で20 万724 枚の買い越しとなり、前週から612 枚増加した。買いポジションが5,390 枚増加した一方、売りポジションも4,778 枚増加。前週までは買い、売りポジションがともに減少し、取組高が減少するパターンだったが、先週は一転して買い方、売り方ともにポジションを積み上げる結果となった。ただし、週末に掛けて安値圏で推移したことから、売り方の動向が注目される。

 金相場は今後も堅調な推移が続く見込み。上値追いにはやや材料不足の面もあるが、1,275 ドル前後での下値の堅さが見られる。

 市場では来年2 月に任期満了となるイエレンFRB議長の後任人事に注目が集まっているが、トランプ大統領は議長候補とされている5人との面談を終え、アジア歴訪に出発する11 月3 日までに指名を発表する見通しである。

 直近ではトランプ大統領が次期 FRB 議長として、タカ派的なスタンフォード大のジョン・テイラー教授に好感を抱いているとの報道がある一方、イエレン議長を「歴式的な低金利の政策運営を担った」と評価し、景気回復で株価が最高値圏で推移する中、実績を「尊敬している」と言った。続投すれば政策の方向性は維持される可能性が高く、利上げペースは緩慢となり、これがドル安を誘うだろう。その場合には、金相場にはポジティブに作用すると考えられる。

 また、26 日には ECB(欧州中央銀行)理事会が開催され、来年 1 月から資産買い入れ額を現在の月額600 億ユーロから400 億ユーロに縮小する見通しである。そうなれば、欧州でも金融引き締めに舵を切ることになる。これがユーロ高・ドル安につながり、金相場にはポジティブに作用するだろう。

 いずれにしても、押し目買い意欲も強く、直近高値の再び1,310 ドル水準を明確に超えると、上昇に勢いがつくことだろう。

 

非鉄は全体的に堅調

 非鉄相場はまちまち。LME (ロンドン金属取引所)在庫はニッケルが 1,524 トン増だったが、その他は減少した。

 アルミは反落したが、銅は辛うじて下げ渋っている。しばらくは、最近上昇に対する日柄調整が続くだろう。そのほうが長期上昇にはよい。ニッケルは小幅安だが、下値は堅く、一時、急伸する場面もあった。亜鉛は下げているが、3,080 ドルのサポートを維持した。鉛は下げているが、なんとか値を保っている。崩れても2,420 ドルを維持すれば、基調も維持される。全体としても堅調さを維持している。

 

クルド自治区原油輸出減響き、原油は反発

 原油は反発した。一時急落する場面もあったが、大幅安は避けられており、潜在的な強さが出始めている。

 イラク北部クルド自治区情勢の緊張による原油輸出量の急減が支援材料になったようだが、一方で米国内の石油掘削リグ(装置)稼働数は3週連続で減少した。この 2 カ月間継続しているリグ稼働数の減退が顕著になっている。一方、トルコのジェイハン港を経由したクルド自治区の原油輸出量は、通常の日量 60 万バレル前後から平均 21 万 6,000 バレルに落ち込んでいるようである。イラク中央政府の石油省は、イラク軍が制圧したキルクーク州の主要油田2 カ所が22 日に操業を再開するとの見通しを示している。

 一方、OPEC (石油輸出国機構)のバーキンド事務局長は、産油国が協調減産期間を延長する方向で調整しているとしている。2018 年末までの延長が協議のたたき台になるとしている。原油在庫の過剰感はまだ完全には解消されていないため、産油国は11 月30 日の次回会合で減産期間の延長を検討する方針だ。

 また、サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相とロシアのノバク・エネルギー相は、プーチン大統領の提案をきっかけに11 月の会合前に合意形成するため、協調減産に参加する他の産油国にも働き掛けているとしている。

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