売買代金ランキング(5銘柄)

1 BASE(4477・東証マザーズ)

 昨年の年間上昇率は驚異の+456%で、流動性面でもマザーズ市場の最上位に君臨する人気銘柄。そのBASEが10日、今後の株価を左右しそうな本決算を発表しました。2021年12月期の期初計画では、売上高を前期比18%増~27%増とレンジで設定。前期のコロナ禍における特需分を2~3割上回る売上見通しは、及第点といえるでしょう。また、3月末で1株を5株に株式分割するとも発表しています。

 一方、前期は5.8億円の最終黒字でしたが、今期は最大14.4億円の最終赤字に転落する見通しとしました。発表翌日の初期反応はこれをネガティブ視。10%近い大幅安で始まりました。ただ、その後急激に切り返し、決算翌日の終値では発表前水準に戻していました。BASEの海外投資家保有比率は5割以上ですので、目先の赤字自体を海外勢は嫌わないといえそう。流動性の高いグロース株として、米長期金利の変動がファクターとして強いようです。

2 シンバイオ製薬(4582・ジャスダック)

 同社は4日、本決算を開示。前2020年12月期は、営業損益で45億円の赤字でした。ただ、同時に発表した今2021年12月期予想は、売上高が前期比3倍の91.5億円、営業損益が13.6億円の黒字!(ただし、コンセンサス予想も同等だったため、サプライズはなかったともいえますが…)。

 エーザイに販売委託していた抗がん剤「トレアキシン」の契約が満了し、今期から自社販売体制に移行することで売上が急伸。結果、黒字転換が果たせるうえ、中計の最終年度2023年12月期には営業利益20.9億円を見込むとのことです。赤字の創薬ベンチャーが、黒字の製薬会社に変化する…その転換点で、株価は想像以上の上昇を遂げたといえます。

3 マクアケ(4479・東証マザーズ)

 前月(1月26日)の第1四半期決算発表の手前が今年の株価ピーク。第1四半期の応援購入総額の鈍化が嫌われ、2月も上値の重い1カ月でした。9日には、海外募集で50万株の新株発行を発表。概算で38億円調達した資金を成長投資に回せるのは前向きな話で、希薄化や需給悪化を極端に嫌う反応にはなりませんでした。

 なお、16日付で、一部欧州系証券が投資判断「アウトパフォーム」、目標株価1万2,000円で新規カバレッジを開始しました。マクアケに外資系証券が投資判断を付けたのは今回が初めて。なお、この欧州系証券では、ネット関連銘柄10社を一斉カバレッジ。最上位の「アウトパフォーム」を付与したのは、同社とSHIFT、チェンジの3銘柄でした。

4 ミンカブ・ジ・インフォノイド(4436・東証マザーズ)

 新興株の決算発表ラッシュ期でしたが、発表後の盛り上がりでいえばナンバーワンがミンカブだったといえます。2月末時点の売買代金25日移動平均は47.3億円で、前月末(24.7億円)比で9割増に。また、決算発表後、1月に付けていた上場来高値4,065円を突破。12日高値は4,985円と、上場来高値を大幅に切り上げる展開となりました。

 2日に発表した第3四半期決算は、売上高が前年同期比60%増、営業利益が同79%増の大幅増収増益で着地。有料サービス「株探プレミアム」が順調に会員数を伸ばし、メディアサイト合計の月間ユニークユーザー数も864万人という驚異の数値を記録。コロナ禍で個人投資家が急増、その波に完璧に乗ったのがミンカブでした。

5 KaizenPF(4170・東証マザーズ)

 昨年12月に上場したばかりの直近IPO(新規公開株)。ウェブサイトのUX(利用者体験)改善を手掛けるユニークなビジネスモデルで、類似会社は同じく昨年上場のグッドパッチだけ。新奇性のある事業で、類似会社も少なく、バリュエーションの高さには目を瞑るといった雰囲気で推移してきました。

 ベンチャーキャピタルの持ち分も多く、上値の重かった同社株が動意付いたのは、12日発表の本決算を通過した後。上場時に開示していた2020年12月期予想を上ブレたうえ、今2021年12月期予想を売上高30%増、営業利益は同7倍と開示。変化率の大きさにポジティブサプライズが発生しました。上場後の最初の決算発表が大事です。ここで好印象を与えた企業は、しばらく投資家に支持されます。あとは、順調に計画を達成し、できれば増額修正も出せた場合、その高評価が定着するはずです。