※このインタビューは2019/08/30に公開した記事となります。

 2011年から「イベント投資」を実践し、30代前半の若さで「億り人」の仲間入りを果たした、まつのすけさんインタビューの中編をお届けします。今回は、年末年始の株価の動きを利用した投資法や株主優待先回り、IPOセカンダリー投資などについて聞きました。

大発会の日に高い初値がついたら迷わず「買い」

──前編では、日経平均株価の季節変動を利用した投資法についてお伺いしました。ほかにイベント投資にはどのようなものがありますか?

「性格的に、売ったり買ったりのゲームっぽい感じが好きで、ついついガマンできずに売買してしまいます。正直(ああ、あの時売らなければよかった…)と思うときもあります(笑)」

 これも日経平均株価の季節特性に目をつけたものですが、年末年始の株価の値動きを利用するものがあります。株式市場における年末の最終取引日を「大納会」、新年の初取引が行われる日を「大発会」というのはご存じだと思います。実はこの両日は特有の動きをするんです。

──というと?

 過去の大納会の日の動きを見ると、株価が下落し、マイナスで終わることが多くなっています。年末から年始にかけて数日間株式市場が休みになりますから、その間の突発的なリスクを抑えるため、売却して手仕舞いする人が多いのだと思います。では、大発会の日はどうかというと、大納会の終値より高い初値がつくケースが多いんです。

──年末に売却した人たちが買い戻す?

 たぶんそういうことでしょう。で、肝心なのはここからなのですが、大発会の日に年末より高い初値がつくと1日上昇を続けることが多いんです。だから、大発会の初値を確認して大納会の終値より高かったら、すぐに初値で買って終値で売るという作戦が有効になるんです。

──なるほど。ちなみに大発会の初値が大納会の終値を下回ることもあるんですか?

 はい、マレにあります。この場合、その日1日パッとしないまま終わることが多いので、逆の手を打つ方法があります。要するに初値で空売りして終値で買い戻すわけです。

──これも理論的根拠にもとづくものではない?

 いわゆるアノマリーというものです。大発会の初値が前年末よりプラスになると、新年ということもあって市場参加者が強気になり、ご祝儀相場的な色合いが強くなるのでしょう。反対にマイナスになるとみんな何となく気弱になり、1日盛り上がらずに終わるんだと思います。でも、これはあくまでも推測であって論理的根拠とはいえません。だから、まともに受け止める人は少ないんです。

──だからこそ、やってみる価値があるのでしょうね。

 そういうことです。1日の値動きを利用する方法なので大きく稼げるわけではありません。でも、手堅い方法ではあるので、試してみる価値はあると思います。このような細かい取引を数多く実践しています。