金は約2週間ぶりの高値

 金相場は上昇。約2週間ぶりの高値となっている。ドル安とスペインや北朝鮮の地政学的リスクが下値を支えた格好だ。

 北朝鮮は10日に朝鮮労働党創建記念日を迎えたが、具体的な挑発行為はなかった。だが、トランプ米大統領はツイッターで軍事行動を念頭に置いていることを示唆したことで、緊張感は依然として高い状態にある。ロシアと中国は北朝鮮について自制を呼び掛けているが、それもあってか北朝鮮はこのところ静かである。しかし、いつ何をしでかすかわからないだけに、今後も緊張状態は続くだろう。もっとも、このような地政学的リスクが金相場を長期的に押し上げることはない。この点を理解しておく必要がある。

 スペインでは、カタルーニャ自治州の独立を問う住民投票で独立賛成派が勝利した問題については、同州政府のプチデモン首相が演説で中央政府との緊張緩和を呼び掛けた。しかし、これも金市場から見れば重要な材料ではない。一方、緊張緩和からユーロが買われたことでドルは下落し、米国株が上昇。それでも金相場は上げている。今後も「株高・金高」の構図は変わらないと考えている。

 市場では、12月の利上げ観測が根強いが、現状のインフレ水準では簡単ではないはずだ。市場を驚かせば、株価が急落し、米国景気は低迷することもあり得る。利上げをできるだけ遅らせ、ドルを安い水準にとどめておくという選択肢は十分ある。だとすれば、株価の上昇が続く中でも金相場が高値を維持するとの見方も浮上するだろう。

 

中国需給ひっ迫観測で銅は続伸

 非鉄相場はまちまち。LME(ロンドン金属取引所)在庫は亜鉛が引き続き増加したが、それ以外は減少した。

 アルミは下げたが、高値圏を維持。銅は続伸で、6,750ドルを回復した。中国での需給ひっ迫観測が背景にあるという。ニッケルも続伸し、1万1,000ドルを回復した。亜鉛も続伸。高値圏での推移が続いており、きわめて強い。鉛も重要なサポートの2,475ドルを維持して反発しており、再び高値を目指す可能性が出てきた。このように、非鉄相場には下げても再び上昇する強さがある。歴史的上昇相場に入っている可能性が高いことを念頭に入れたうえで市場動向を見ていくことが肝要だ。

 

サウジの輸入削減表明を受け、原油は続伸

 原油は2%の続伸。サウジアラビアが11月の輸出削減を表明したことが材料視された。また、ここ数年間続いた供給過剰が均衡に向かっているとの見方も支援材料だった。

 サウジは減産合意に沿って、11月の原油輸出割当量を日量56万バレル削減する方針を示した。OPEC(石油輸出国機構)やロシアなどの非加盟産油国は、協調減産と予想以上に堅調な世界の需要により、需給均衡が速いペースで進んでいると見ている。

 一方、RIA(ロシア通信)はメドベージェフ首相の発言を引用し、「協調減産合意の効果により、原油価格が妥当な価格帯に維持されている」と報じた。また市場では、石油製品の在庫や洋上貯蔵原油の減少が進んでおり、需給均衡が確実に進捗していると見られている。

 また、OPECのバルキンド事務局長は、米国のシェールオイル生産者に対して世界的な原油供給抑制に協力するよう呼び掛けた。OPEC加盟国やロシアなど他の産油国が原油価格の引き上げを目指して原油供給量を削減する一方、今年の米国の生産量は10%増加している。その大部分がシェールオイル生産者によるもの。

 そのため、OPECバルキンド事務局長は、米シェールオイル業者以外の生産者も減産に参加してもらいたいとの考えを示している。バルキンド事務局長は「OPEC加盟国と他の産油国が石油市場のリバランス化のため、来年に非常手段を取る必要があるかもしれない」と発言。米シェールオイル企業は民間であり、対応は個々の収益性次第である。OPECの呼びかけで減産が進む可能性はほとんどないだろう。もっとも、今後は生産コストの上昇が想定される。結果的に、原油安で減産を強いられるシェールオイル企業が増える可能性は十分にあるだろう。