回復力の強い日米株式。でも安易な買い増しは命とりにも

 こうして見ると、どうしても「明」の資産、とりわけ回復力の強い日米株式に目がいきがちです。しかし、新型コロナウイルスとの闘いは完全に終息したわけではなく、政府の支援策によって下支えされている現在の株式市場に脆(もろ)さがあることはいなめません。

 現に、6月第2週には、感染第2波を警戒し、これまで上昇を続けていた日米の株式市場で利益確定の動きが広がり、株価は大きく下げました。こうした不安定な市場環境下で、目先の利益を追うための安易な買い増しはおすすめできません。

 株式への投資で特に重要なのは、長期の視点で世界の経済成長を捉えることです。積み立てで長期分散投資が重要と言われる背景には、長い目で見れば世界経済は拡大していくという前提があります。

 IMF(国際通貨基金)は、4月、2020年の世界経済の成長率(実質GDP[国内総生産]伸び率)をマイナス3.0%とし、1930年代の世界恐慌以来の景気後退に陥る可能性を示唆しました。ただし、感染拡大の終息が期待される2021年には、新興国を中心に5.8%のプラス成長へ回復するとも予想しています。このように、世界の経済成長率は短期で見ると大きく上下していますが、長期で見ると、GDPの累積成長率に与える影響はさほど大きくないことが分かります。

注:1980年を100として計算
出所:IMFのデータを基に楽天証券経済研究所作成

波乱相場にこそ原理原則に沿って

 世界経済拡大の恩恵を着実に受けるためには、日本だけではなく、世界全体に目を向けることも重要です。株式市場が好調なときは、どうしても目先の高いリターンを追い求めて、この原理原則を忘れてしまいがちになります。今一度、ご自分がきちんと分散投資を実践できているか、保有する投資信託も含め、確認をしてみてください。

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