上値重いものの、北朝鮮リスク高まりで「金」は反発

 金相場は反発。北朝鮮情勢の緊迫化などを背景に買いが入った。

 トランプ米大統領が国連演説で「北朝鮮を完全に破壊するしかなくなる」と警告したことを受けて、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は21日付の声明で「史上最高の超強硬対応措置の断行を慎重に考慮する」と表明。さらに北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相が太平洋上で過去最大級の水爆実験を行う可能性を示唆した。

 これを受けて、北朝鮮リスクに対して警戒感が強まったことから、安全資産である金を見直す動きが強まったといえる。

 一方で、20日のFOMC(米連邦公開市場委員会)終了後には年内あと1回の利上げ観測が一段と強まっていることから、金利を生まない資産である金相場の上値が押さえられた格好だ。

 世界最大の金ETF(上場投資信託)であるSPDRゴールドトラストの保有高は、9月15日の838.64トンから、22日には856.08トンに増加した。金相場自体は上値が重いものの、ETFへの買いが増えていることから、年金や機関投資家は今回の下落局面を利用して資金を金に振り向けているものと考えられる。また、これらの安値拾いの買いが下値を支える可能性もある。

 一方、COMEX(ニューヨーク商品取引所)金先物市場での大口投機筋のポジションは、9月19日時点で23万6,089枚の買い越しとなり、前週から1万8,671枚減少した。買いポジションが2万846枚の大幅減少となった一方、売りポジションも2,175枚減少した。ネットの買い越しが減少したのは久しぶりで、今回の下げがいかに厳しいものであるかが伺える。

 また、買いポジションの減少だけでなく、売りポジションも減少。大きく下げないと見ている可能性があるだろう。目先は1,280ドル前後で下げ止まることができれば、再び相場が上向く可能性もある。

 いずれにしても、このような目先の話に関係なく、金は常に保有しておくべき資産である。

非鉄は今週の動向に注意が必要

 非鉄相場はおおむね上昇。LME(ロンドン金属取引所)在庫はニッケルが増加したが、その他は減少した。

 北朝鮮が水爆実験を行う可能性を示唆したことで地政学的リスクに対する警戒感が高まり、ニッケルは8月中旬以来、約5週間ぶりの安値となった。もっとも重要なサポートの1万600ドルは維持しており、上昇基調は維持されている。一方でアルミと銅は辛うじて下げ渋っている。銅は重要なサポートの6,350ドル近くまで下落したが、ここで下げ止まって反発しており、上昇に転じる可能性が高まっている。亜鉛も反発し、鉛も上昇している。

 このように、非鉄相場は下げ渋って上げており、目先の下値を確認したといえそうである。

 北朝鮮関連の報道には今後も注意が必要だが、過度の懸念は不要であろう。26日にイエレンFRB議長の講演が予定されている他、中国の当局と民間の製造業PMI(購買担当者景況指数)が30日に発表される。これらの材料にも注意が必要だろう。

減産効果期待から原油は小幅反発

 原油は小幅反発。需給不均衡是正への期待が買いを誘っている。

 ブレント原油は一時56.91ドルまで上昇し、今年4月の高値を更新している。57.30~57.50ドルのレンジはもみ合いゾーンだが、これを上抜けると、きわめて強い相場展開に移行するだろう。

 OPEC(石油輸出国機構)加盟国とロシアなどの非加盟国は22日にウィーンで合同閣僚監視委員会を開催。注目が集まっていた来年3月末に期限を迎える協調減産の延長については、原油相場が最近50ドル台を維持していることから、延長の勧告が見送られた。

 しかし、ロシアのノバク・エネルギー相は会合終了後、「減産を延長するかどうかについて、来年1月までは決定しない」との見通しを示した。

 これらを受けて、原油相場は一時、マイナス圏となる場面もあったが、需給均衡に対する期待が高まっており、下値は堅い。

 また、最新週の米国内の石油掘削リグ(装置)稼働数が前週比5基減の744基と、過去6週間のうち5週間で減少。6月以来の低水準となったことが材料視された。月間ベースでは2カ月連続の減少になるとみられ、9月の減少幅は16年5月以来の大きさとなる見通し。四半期ベースでも7~9月期は2016年4~6月期以来の減少となる見込みである。原油相場の軟化で企業が掘削活動を縮小しており、14カ月続いた回復基調が失速することになる。

 一方、OPEC加盟国と非加盟国の合同閣僚監視委員会の会合では、世界的な原油在庫が低下するなど減産の効果が表れているとの認識が示された。

 また、2018年3月に期限を迎える減産措置の延長については、結論を出す時期に関して意見が分かれたもよう。減産延長の是非について、ロシアのノバク・エネルギー相は「来年1月以降に再び協議することが可能だと思われる」とした上で「ペースを緩めず、全体的な協調対応を継続しながら、来年4月以降の戦略を練ることも必要だ」との認識を示した。加えて石油需要は「ハイペース」で伸びているとも指摘。しかし、ロシアは減産にはあまり積極的ではないと受けとめられているようである。

 一方、ベネズエラのデルピノ石油相は、「今年11月のOPEC会合で結論を出すことになる」として減産延長を含め、「あらゆる案が検討されている」とした。

 会合の議長を務めたクウェートのマルズーク石油相は、「世界の原油在庫をOPEC目標の5年平均水準に削減する上で減産が役立っている」とした上で、「前回7月会合以降、石油市場は著しく改善した。市場は間違いなくリバランスに向かっている」との認識を示している。

 また、OECD(経済協力開発機構)加盟国の在庫水準が5年平均と比較した超過幅が1月の3億4,000万バレルから8月は1億7,000万バレルにまで劇的に低下したことや、供給の引き締まりが下値を支えているといえる。

 一方、ナイジェリアのカチク石油相は、「産油量は日量180万バレル未満で、OPECなどと合意した上限を依然として下回っている」としている。

 ナイジェリアではデルタ産油地帯で情勢不安が続いており、原油生産が制限されていたことから、当初はOPEC加盟国と非加盟国との減産合意の対象外となっていた。しかし、生産が回復しつつあることから、OPEC閣僚は7月にナイジェリアに産油制限を課し、上限を日量180万バレルに設定することで合意していた。

 カチク石油相は「産油量は日量平均で約169万バレルだが、日々回復している」としている。ナイジェリアの減産合意の参加時期に関しては、カチク石油相は「実際には参加している」との認識を示した上で、「日量180万バレルを上限とする産油制限に合意しており、この水準以下で生産する限り、我々はすでに減産合意に参加していると言える」としている。

※9月27日(水)~9月29日(金)の3日間、本連載は休刊となりますので、ご了承ください。