※以前トウシルに掲載された記事を再掲載しております。

優待投資の良い面と悪い面

 最初に、まず知っておいていただきたい、優待投資の「良い面」と「悪い面」について、説明します。

株主優待とは

 日本には「株主優待」という世界でも珍しい制度があります。上場企業が、株主に感謝して贈り物をする制度です。株主への利益還元は、本来は配当金で行うものです。ところが、日本の個人株主の一部に、お金(配当金)をもらう以上に贈り物を喜ぶ傾向があることから、日本には、積極的に株主優待を実施している会社が多数あります。

株価を見ない?優待投資家

「株主優待」目当てで株を保有する投資家の中には、いい意味でも悪い意味でも、短期的な株価変動を見ない傾向があります。

「いい意味」の面は、「結果的に落ち着いて長期投資ができる」ことを指します。魅力的な優待を提供している小売り・サービス業には、近年、安定的に業績を成長させ、株価が大きく上昇したものが多数あります。毎日、株価を見て一喜一憂していると、株価が少し上がると売りたいと考え、逆に、悪い材料が出て下がってきても売りたいと考えます。長期的な株価上昇を取るには、短期的な値動きは見ないほうがいいこともあります。

重大な悪材料が出て、株価が大きく下がる場合は、いったん売ったほうがいい

 株主優待を重視する投資家(優待投資家)は、一時的に業績が悪化し株価が下がっても、あわてて売らない傾向があります。これは、長期投資家としてのいい側面です。ただし、株価を見ないという悪い傾向もあります。重大な悪材料が出て、株価が大きく下がるような場合は、一度売ったほうがいいと思います。

 たとえば、2010年1月に会社更生法を申請したJAL株は、株主優待券(航空運賃の50%割引券)目当ての個人投資家がたくさんいました。財務や業績に重大な問題が発生し、株価が大きく下落していたのに、株主優待目当ての投資家は、売らずに持ったままでした。

 とは言え、「売るタイミングの判断がつかない」という方は、自分なりのルールを決めましょう。たとえば「買ってから株価が30%以上、下がったら売る」といったルールです。これは下げ続ける銘柄を黙って持ち続けないための知恵です。

優待廃止あるいは優待内容を大幅にカットする企業は「売り」

 優待投資家は業績を見なくても、株主優待内容の変更はよくチェックしています。優待廃止や、優待内容が大幅に悪くなる場合は、売ることが多いそうです。この場合は売りの判断でいいと思います。株主優待をカットする企業は、業績や財務が悪化し始めていることが多いからです。