追加利上げ見通しも、実施はインフレ動向次第

 金相場は下落。約4週間ぶりの安値をつけた。

 FRB(米連邦準備制度理事会)が12月に追加利上げを行う方針を示唆したことが米長期金利の上昇につながり、金相場を圧迫している。

 ただし、ドルは対主要通貨で下げており、むしろドル安は材料視されていないことになる。金には金利がつかないため、米長期金利の上昇に敏感に反応する。

 市場の多くは、今回のFOMC(米連邦公開市場委員会)での決定をタカ派的と受け止めているようだが、あまりに理解不足だろう。利上げ見通しはあくまでFRBの希望であり、最終的にはインフレ動向次第である。原油相場が上昇しないとインフレにはならない。この点を市場はよくわかっていない、と私は考えている。

 また、医療保険制度改革(オバマケア)の代替や税制改革、資金の本国送還に関する法律が成立すれば、これも金市場には逆風になるとの見方もあるようである。いずれにしても、市場が12月利上げを織り込むようであれば、一時的な調整は仕方がないだろう。

 しかし、長期的に米国はドル安を維持しなければならない事情がある。この点を考慮すれば、ドル安が金相場を支える構図が大きく変わることはないだろう。

 1,300ドルの節目を割り込んでいるが、真のサポートは1,270~1,275ドル前後にある。ここで下げ止まるかがポイントだ。

 

在庫薄の非鉄は下落

 非鉄相場はおおむね下落。LME(ロンドン金属取引所)在庫はすべての銘柄が減少した。銅在庫も久しぶりに減少している。

 アルミは前日の急伸の反動で下げているが、5年ぶりの高値水準を維持している。銅は横ばいでの推移から下抜けている。ただし、6,350ドルで下げ止まれば、長期的な上昇基調は維持されることになる。

 ニッケルは急反落し、1万1,000ドルを割り込んだ。きわめて重要な局面にある。1万570ドルを維持できるかに注目しておきたい。そうなれば、上昇基調は維持されることになる。

 亜鉛は直近高値を更新した動きから反落した。2,950ドルまでは許容範囲である。鉛は超強気相場が続いており、この日も高値を更新している。ショート筋の買い戻しが入っているのだろう。

 アルミ・銅・ニッケルは調整色が強まっているが、基本的な方向性に変化はない。歴史的強気相場にあることを再認識しておくべきだろう。

 

協調減産の行方をにらみ、原油は横ばい

 原油は横ばいでの推移。OPEC(石油輸出国機構)加盟国と非加盟産油国の会合を翌日に控える中、その内容を見極める動きにある。今回の会合はウィーンで開かれ、現行の協調減産合意を延長するかが話し合われる見通し。来年3月までの現行の協調減産が延長されるとの見方が優勢である。しかし、原油価格が上昇すれば、合意水準を超えた増産を招きやすいとの見方もあり、その推移を見守る必要があるだろう。

 一方、米国ではハリケーン「ハービー」による洪水でメキシコ湾沿岸の製油所が停止しており、引き続き原油在庫の増加傾向が続いている。しかし、これは製油所の稼働が戻れば、自然に減少するものであり、今の時点で懸念するに及ばない。もっとも、産油量が想定以上に早く回復している点には注意が必要だ。

 直近では日量951万バレルと、8月下旬にハービーが襲来した後の878万バレルから増加している。

 一方、OPEC加盟国と非加盟国の会合に関しては、協調減産の延長の可能性について協議するほか、減産合意の順守状況を見極める輸出を監視することを検討する見通し。

 合同監視委員会の会合には、OPEC側からクウェート、ベネズエラ、アルジェリア、非加盟国側からロシアとオマーンの閣僚が出席する。クウェートのマルズーク石油相は「減産合意の順守率は前月から改善し、100%を超えている」とした。アルジェリアのギトウニ・エネルギー相は「今回の会合で現行の協調減産の延長について協議する」との見通しを表明。また、ロシアのノバク・エネルギー相は「今回の会合で原油輸出を監視する方法について協議する」という。

 現行の減産合意の期限は2018年3月末だが、OPEC代表者は「どの程度延長するかについては、これまでのところ合意は得られていない」と話す。

 会合の成果によっては、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油が一段高となる可能性も十分にあるだろう。51ドルを超えるとまったく違う相場展開になることを理解しておきたい。