ドルの買い戻しで、金は下落

 金相場は下落。1週間超ぶりの安値をつけている。

 ドルが上昇したことが背景だが、これがいつまで続くかがポイントであろう。北朝鮮情勢やハリケーン被害に対する過度の懸念が和らいだことが、これまでのドル売りポジションの巻き戻しにつながっている。

 また、米長期金利の上昇もドル買いを後押ししており、これも金相場を圧迫している。
大型ハリケーン「イルマ」はフロリダ州に上陸したが、同州の中心都市マイアミが直撃を免れたため、経済的な損失が当初の懸念より小さかったとの見方が広がった。これも市場に安心感を与え、株価が上昇するなど、やや楽観的な動きになっている。

 また、北朝鮮によるミサイル発射などの新たな挑発行動は見られず、投資家のリスク回避姿勢が後退したことも、安全資産として金買いを止める動きにつながったといえる。

 19-20日にはFOMC(連邦公開市場委員会)が開催されるが、14日はCPI(消費者物価指数)などインフレ指標の発表も控えている。ここで軟調な結果が示されるようであれば、年内利上げの可能性がさらに後退。ドルが売られ、金が上昇する可能性は十分にあるだろう。

 一方、北朝鮮に対する最新の制裁決議に関して、トランプ大統領が「非常に小さな一歩にすぎず、核開発計画に対処するために避けられないであろうことに比べれば、ゼロに等しい」と発言したことは、いまだに武力衝突リスクがあることを示すものといえる。いずれにしても、北朝鮮情勢はあくまで短期的な話であり、金相場の本質的な上昇は米低金利とドル安にある。これが続く限り、金相場の上昇基調は変わらない。

 米国の主要株価指数が過去最高値を更新しているが、今後も低金利を背景に「株高・金高」の状況が続くだろう。

非鉄は下げ止まって反発       

 非鉄相場はまちまち。LME(ロンドン金属取引所)在庫はアルミと鉛が減少したが、銅、ニッケル、亜鉛が増加した。

 アルミは続伸。再び高値を狙う動きになっている。銅は下落し、6,700ドルを割り込んだが、ここで下げ止まるかは目先的に重要である。ニッケルが1万1,500ドルでサポートを見事に維持して反発しており、まだ強い動きは続いている。亜鉛は反落したが、安値は更新していない。鉛は2,250ドルのサポートを維持しており、再び上昇に向かいやすくなっている。 
いずれにしても、重要な水準でどのメタルも下げ止まって反発しており、下値は売れないだろう。

 14日には中国の8月の鉱工業生産、小売売上高、1-8月の都市部固定資産投資などの発表がある。これらの指標がよほどおかしな内容でなければ、市場の不安感は高まらないだろう。

2018年需要引き上げ見通しから、原油は続伸

 原油は続伸。OPEC(石油輸出国機構)が2018年の需要見通しを引き上げたことが好感されたもよう。また、ロシアとベネズエラのエネルギー相が減産の履行を確認したことも材料視されたようだ。

 OPECは月報で、米国を襲った2つのハリケーンによる石油需要への影響は「ごくわずか」との見解を示している。市場はハリケーン「イルマ」の影響を見極めようとしているが、その影響は軽微であろう。また、ハリケーン「ハービー」で打撃を受けた製油所は再開し始めており、原油需要の回復への期待が高まっている。

 米製油大手モティバ・エンタープライジズ社は、ハリケーン「ハービー」の被害で停止していた米国最大のポートアーサー製油所(処理能力=日量60万3,000バレル)での生産を約2週間ぶりに再開した。同製油所は「ハービー」による浸水被害で、8月30日から閉鎖していたが、今後は生産ペースを上げていくという。

 一方、OPECが発表した8月の加盟国の産油量は前月比0.2%減の日量3,275万5,000バレルで、産油量の減少は4月以来、4カ月ぶり。ただし、昨年11月末に合意した生産上限の3,250万バレルは3カ月連続で超過した。

 サウジアラビアは0.1%減の1,002万2,000バレルで、3カ月連続で1,000万バレル台となった。ただし、生産枠の1,005万8,000バレルは下回った。イランはほぼ横ばいの382万8,000バレルで、生産枠の379万7,000バレルを3カ月連続で超過。減産を免除されたリビアは生産量を急速に増やしてきたが、一転して11万2,300万バレル減の89万バレルだった。ナイジェリアは13万8,300万バレル増の186万1,000バレル。従来は減産を免除されていたが、180万バレルを上限とする産油制限を7月に受け入れている。

 UAE(アラブ首長国連邦)は0.7%減の290万1,000バレルで、生産枠を超過した。ベネズエラは1.6%減の191万8,000バレルで、減産目標を達成。クウェートは横ばいの270万2,000バレルで目標を達成したが、イラクは0.5%減の444万8,000バレルと、生産枠の435万1,000バレルを減産開始から8カ月連続で上回っている。

 それぞれの国がもう少し減産しない限り、生産枠の範囲に収まらない状況にある。一方で月報では、2018年のOPEC産原油への需要は日量3,283万バレルと予想し、前回予想から同41万バレル引き上げ、OPEC原油の需要が拡大するとの見通しも示した。そして、協調減産が供給過剰解消に向けた取り組みを後押しして、世界市場が引き締まる兆候が表れる見込みと分析している。