北のミサイル発射なく、金は急落

 金相場は下落。北朝鮮が週末にミサイル発射実験を行わず、市場に安心感が広がったことから、安全資産である金には売りが出ている。

 世界の株式やドルが買い直され、債券が売られたことで米長期金利は上昇しており、金市場にとっては格好の下落のパターンになっている。
米フロリダ州で大型ハリケーン「イルマ」の被害が懸念されていたより少なかったことも、金需要の低下につながったといえる。

 国連安全保障理事会は6回目の核実験を強行した北朝鮮に対する追加制裁決議案を全会一致で採択。北朝鮮からの繊維輸出禁止や北朝鮮の原油輸入制限などが盛り込まれた。米国が中露に対して譲歩したことで、北朝鮮がどのような態度に出るかに注目だが、これを受けて、一時的に金の売りが加速する可能性がある。

 ただし、北朝鮮情勢に関しては、今後も予断を許さない状況は変わらない。もっとも、このような地政学的リスクが金相場を大きく押し上げ、その基調の継続につながることはない。あくまで目先の材料としてとらえるべきである。

 今後の金相場の長期的な上昇基調を支えるのはドル安である。原油相場の低迷で米CPI(消費者物価指数)が伸び悩む中、FRB(連邦準備制度)は年内利上げが困難な状況に追い込まれている。

 「利上げありき」で12月のFOMC(連邦公開市場委員会)での利上げを示唆すれば、株価が急落するだけで、大きなリスクとなる。結果的に、米国は低金利状態が続かざるを得ず、結果的に金相場は高値圏を維持することになる。

在庫減少で、非鉄は反発

 非鉄相場は反発。LME(ロンドン金属取引所)在庫はすべての銘柄が減少。

 アルミは反発。2,090ドルのサポートで見事に反発した。銅も同様に6,680ドルでピタリと下げ止まり、反発した。ニッケルも1万1,500ドルでサポートされて反発。見事なまでのチャート通りの展開である。亜鉛は反発したものの、逆にポイントの3,100ドルで打たれており、これを超えることが明確な反発基調への回帰になる。鉛は2,250ドルのサポートを維持しており、ひとまず大崩れは回避されている。

 いずれにしても、重要な水準でどのメタルも下げ止まって反発しており、下値は売れないとの考えが市場参加者にあると言える。目先は14日の中国の8月の鉱工業生産、小売売上高、1~8月の都市部固定資産投資などの発表に注目が集まるだろう。

 10月の共産党大会に向けて、経済の安定を重視する習近平国家主席はしっかりと対策を講じるだろう。人民元高の影響が懸念されているが、資本流出が確認されなければ、今後は一時的に緩められる可能性も考えられる。

 CAAM(中国汽車工業協会)が発表した8月の中国の自動車販売台数は前年比5.3%増加の219万台。7月は6.2%増、6月は4.5%増だった。また、4月と5月は2.2%、0.1%それぞれ減少。この結果、1~8月の販売台数は前年比4.3%増の1750万台となった。

需要回復見込みから、原油は反発

 原油は上昇。米フロリダ州でハリケーン「イルマ」の影響で、ガソリンや軽油の需要が低迷するとの思惑から、燃料価格が下落している。

 一方で、先のハリケーン「ハービー」の打撃により、停止に追い込まれたメキシコ湾岸周辺の製油所の多くが操業を再開し、原油需要が回復する可能性が出ていること、また、OPEC(石油輸出国機構)と非加盟産油国が来年3月まで15カ月間実施する協調減産が、延長される可能性との見方が原油相場を支えている。

 今週発表分の在庫統計では、まだ在庫は増加傾向が続く見込みだが、これも徐々に減少に転じることになるだろう。

 OPEC加盟国とロシアを含む非加盟産油国は来年3月までの日量180万バレルの協調減産に合意。11月のOPEC総会では最低3カ月間の減産延長が議論される見通しだ。

 一方、サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は、ベネズエラ、およびカザフスタンのボズムバエフ・エネルギー相と2018年3月以降の世界的な減産協定の延長について協議したもよう。

 カザフスタンのボズムバエフ・エネルギー相と会談したファリハ氏は、カザフスタンのカシャガン油田からの産油量が今年に入ってから徐々に増加しているが、「カザフスタンは8月に他の油田を減産することにより、減産目標以上の達成が可能」としている。

 さらにベネズエラのデルピノ石油鉱業相とファリハ氏は、来年3月以降の減産延長の可能性を含め、「あらゆる選択肢を残す重要性について合意した」として原油市場の現状と、OPEC主導の協定が「需給のリバランスや過度に積み上がった原油在庫の減少にどの程度寄与し、市場の安定性をどう改善しているか」について協議。2018年のファンダメンタルズについて楽観的な見方を共有したとしている。

 しかし、現状の原油価格の水準に満足してはいないだろう。単年度の財政および経常収支をバランスさせるには、今の原油価格の水準はあまりに安い。水準訂正を狙った新たな対応策が打ち出されてもおかしくない。

 またOPECのバルキンド事務局長は、「OPECが主導した供給削減措置は世界的な原油市場の再均衡化に効果を発揮している」との考えを示した。さらに「原油在庫は陸上貯蔵施設で減少しており、洋上貯蔵されている在庫も6月以降は減少している」と指摘。今後年末にかけて需要増が予想されることから原油在庫は一段と減少するとしている。そして、減産措置に加えて、今年下期の需要が上期より日量200万バレル近く増加する見込みであることから、貯蔵原油の余剰解消につながるとの見通しを示した。