米のデフォルト回避から、金は反落

 金相場は下落。米政府機関閉鎖への懸念が緩和されたことや、安全資産とされる円に対してドルが上昇したため、1年ぶりの高値水準から下落した。

 トランプ大統領は、連邦政府の債務上限を3カ月間引き上げることで議会指導部と合意したと発言。共和党主導の議会で可決されれば、デフォルトに陥る可能性は当面回避されることから、市場に安心感が広がった。

 これにより米国政府は、10月1日に始まる次期財政年度の当初3カ月間の資金を確保するとともに、ハリケーン「ハービー」の被害者支援を実施できることになるため、安全資産である金を買う動きが後退した。

 とはいえ、北朝鮮情勢の緊張はさらに高まっており、予断を許さないことから、金相場は地政学的リスクで支えられることになるだろう。

 北朝鮮による6回目の核実験を受けて、米国は北朝鮮への原油供給を全面的に禁止し、渡航禁止や資産凍結の対象に金正恩朝鮮労働党委員長を指定する新たな制裁決議案を、国連安全保障理事会の全理事国に配布。米国は11日の採択を目指している。

 今回の決議案の内容は従来の決議と比べてきわめて強力で、局面の打開を図りたい米国の強い意志が反映されている。しかし、北朝鮮を不安定化させる措置に反対してきた常任理事国の中国やロシアが同意するかは微妙な情勢にある。拒否権を持つ両国への説得は容易ではなく、11日に向けて激しい外交戦が展開されることになる。

 これらの状況から、金相場は当面は高値圏で推移せざるを得ないだろう。

非鉄は高値圏でもみ合いか

 非鉄相場は反発の動き。LME(ロンドン金属取引所)在庫はアルミと鉛が増加した。

 アルミは反発した。2,080ドルにあるサポートを一時割り込んだが、その後は戻している。銅は反発。きわめて強い動きが続いている。ニッケルも反発し、1万2,250ドルを回復した。亜鉛は小幅下落となったが、基調は保たれている。鉛は反発し、長期的なサポートの2,300ドルを維持していることから、基調は維持されている。

 非鉄相場は最近の急伸の影響から、目先は高値圏でのもみ合いが想定される。しかし、長期的な上昇基調が崩れるようなことはないだろう。

製油所再開で、原油は続伸

 原油は続伸。ハリケーン「ハービー」の影響で急落した後は、世界的に堅調な精製マージンと、米メキシコ湾沿岸の製油所の稼働再開を受けて買いが入りやすい地合いになっている。ハービーの影響で閉鎖された製油所やパイプライン、港湾の多くは再開しつつあるもようだ。

 ただし市場では、過去80年で上位5位に入る強い勢力とされているハリケーン「イルマ」に警戒している。週末にフロリダ州に接近する見通しで、ガソリン需要の中心地を直撃するため、燃料不足を引き起こす可能性が懸念されている。メキシコ湾沿岸やカリブ海のエネルギー関連インフラでは、イルマの接近に備えてプラットフォームから作業員を退避や石油ターミナルの閉鎖などの対策が開始されているという。

 一方、引け後にAPI(米石油協会)が発表した1日までの週の米国内の原油在庫は前週比280万バレル増だった。ガソリン在庫は250万バレル減、ディスティレート在庫は60万3,000バレル減。原油輸入量は日量29万7,000バレル減の720万バレルとなっている。

 これがハービーの影響をどの程度、織り込んでいるかは不明だが、本日発表のEIA(米エネルギー情報局)の在庫統計でも確認したうえで判断することになるだろう。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油は重要なチャートポイントだった48.70ドルを上抜けており、これを維持できれば51ドルを試すことになるだろう。これを超えると、基調は明確に上向くことになる。

 レーバーデーを過ぎて、ガソリン需要期が過ぎたことから、原油相場は強気にはならないとの見方が多いようだが、過去には年末に向けて年内の高値を付けていることが少なくない。勝手な思い込みにより、足元をすくわれる市場参加者が増える可能性は十分にあるだろう。

 最近は銅価格が上昇しているが、連動性の高い原油相場は割安感が顕著である。銅価格との比較では、理論的にはWTI原油は65ドルから77ドル程度でもまったく不思議ではない。60ドルは到達すべき最低水準だろう。