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 1年ぶりの高値を付けた「金」。需要回復で「原油」は反発
江守 哲
コモディティ デイリーコメント
貴金属、原油を中心とした商品(コモディティ)マーケットの要点をまとめたデイリーコメント。コモディティマーケットに精通した江守氏の鋭い着眼点に注目。

1年ぶりの高値を付けた「金」。需要回復で「原油」は反発

2017/9/6
・長期的にはドル安が金相場を押し上げる
・非鉄は反落も上昇基調
・非鉄相場は中国の需要回復期待もあり、調整後は再び上値を試すだろう
・ 需要回復で、原油は上昇
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長期的にはドル安が金相場を押し上げる

 金相場は1年ぶりの高値を付けた。ドルの下落や北朝鮮の核実験に関する懸念を背景に安全資産としての金買いが続き、一時1,344ドルまで上昇。昨年9月8日以来の高値を付けている。
北朝鮮が9月9日の建国記念日を祝う前に新たなミサイルを発射する可能性があるとの見方もあり、予断を許さない状況が続いている。今週がヤマ場との見方もあり、金融市場は大きく変動する可能性がある。


 さらに、米利上げが遅れる可能性が高いことも、金市場にはポジティブな材料である。ブレイナードFRB(連邦準備制度理事会) 理事が、「インフレ率は目標を大幅に下回っており、FRBは物価が上向いていると確信を持てるまで利上げに慎重になる必要がある」との考えを示したことで、米国債利回りが低下した。


 そして、ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁も「FRBのこのところの利上げは物価上昇と賃金の伸びの鈍化につながっている可能性があり、米国経済に対する実質的な阻害要因となっている恐れがある」との考えを示したことで、市場における12月の利上げ確率は43%にまで低下している。


 いずれにしても、現在は北朝鮮リスクを背景とした安全資産としての買いが金相場を支えている。安全資産としての買いはあくまで短期的な材料でしかない。長期的にはドル安が金相場を押し上げるだろう。FRBが利上げできない状況が続くことで、金相場の上昇トレンドが維持されることになるだろう。

非鉄は反落も上昇基調

 非鉄相場は反落の動き。LME(ロンドン金属取引所) 在庫は鉛が増加したが、それ以外は減少した。


 アルミは続落したが、2,080ドルを維持していれば、短期的な基調は変わらない。銅は反落したが、6,970ドルまで上げており、きわめて強い動きにある。ニッケルも反落し、1万2,000ドルを割り込んだが、基調は保たれている。鉛も下げたが、3,100ドルを維持している。鉛が全体の中では最も弱いが、2,300ドルを維持していれば、大きな問題にはならない。


非鉄相場は中国の需要回復期待もあり、調整後は再び上値を試すだろう

 一方、チリ・コデルコの2017年上半期(1~6月)の産銅量は79万8,000トンと、前年同期の84万3,000トンを下回った。ただし、銅価格の上昇を背景に税引き前損益は10億2,300万ドルの黒字と、前年同期の9,700万ドルの赤字から黒字に転換した。生産コストは前年の2,800ドルから2900ドルに上昇。チリでは鉱山で採れる銅の品質低下という長年の問題を抱えており、コストに影響が出ているもよう。

 需要回復で、原油は上昇

 原油は上昇。しかし、これまで堅調だった米ガソリン先物は3%の続落となった。ハリケーン「ハービー」の影響で閉鎖されていた米メキシコ湾沿岸の製油所の操業再開で原油需要が回復したことが原油の買い材料となったもようだ。


 一方で、製油所稼働で石油製品の生産が回復するとの思惑が、ガソリン相場を押し下げている。また、OPEC(石油輸出国機構)が2018年3月に期限を迎える減産態勢を延長するという可能性や、ドル安進行も原油相場の支援材料になったといえる。しかし、新たに発生したハリケーン「イルマ」が最も勢力の強い「カテゴリー5」に発達していることが今後影響を与えそうだ。


 NHC(米国立ハリケーンセンター)によると、イルマは10日にフロリダ州の南を通過してメキシコ湾に到達すると予想されており、再びハービーと同様の事態が発生する可能性もあるだけに、注意が必要だろう。


 また、ロシアとサウジアラビアは、OPECとOPEC非加盟国による協調減産合意の延長について協議したが、具体的な決定には至らなかったもよう。ただし、2018年第1四半期以降の合意延長が選択肢として検討されていると報じられている。


  一方、イランのザンギャネ石油相は、「OPEC加盟国の減産順守率はここ数カ月改善している」との認識を示している。また、産油国間で協調減産の延長に向けて非公式協議を行っているが、「原油市場は均衡していると考える。OPEC加盟国の減産量は過去6カ月縮小しておらず、拡大している」としている。


 IEA(国際エネルギー機関)は7月の月報で、一部のOPEC加盟国が生産枠を超えて増産したことで、OPECの6月の減産順守率が6カ月ぶりの低水準に落ち込み、市場の需給均衡が遅れるとの見方を示していた。しかし、8月には今年の世界の石油需要が予想以上に伸びたことで、供給過剰の緩和につながるとの見方を示している。


 協調減産は順調に進んでいるものの、当初想定していた原油価格の水準に戻していないのが実態だろう。OPECは最低でも55ドルから60ドルまでの戻りを想定していたはずであり、現状では物足りないことは明白。米国のシェールオイルの増産ペースが想定を超えていたことが背景にあるが、60ドル以上に戻す意思があるのであれば、OPEC産油量を現行の日量3,300万バレル程度ではなく、3,000~3,100万バレル程度という2014年夏場以前の水準にまでドラスティックに減少させるべきだろう。世界の石油需要は伸びているものの、シェールオイルの増産分を吸収するには、追加減産は不可欠な状況になりつつあると言わざるを得ない。


 WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油は48.60ドルにある重要なポイントにまで上げている。これを超えるかどうかで短期的な方向性が決まるだけに、いまはきわめて重要な局面にあると言える。これを超えると、51ドル前後まで急伸する可能性は十分にある。

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