今日は、新社会人の方へのメッセージです。ただ、老後に備えて、定年までにいくら貯蓄できるか悩んでいる方にも読んでいただきたい内容です。

 日本人には、子供にお金について学ばせる習慣があまりありません。子供にお金の話をするのは良くないこととする風潮もあります。そのため、就職してからもお金についてきちんと考えることがなく、そのまま中高年になっても、お金について人生設計ができない方もいます。そこにつけ込んで老後の不安をあおりつつ、高額な手数料を取るビジネスが流行ります。

そうならないように、若いうちから「お金」の問題にきちんと向き合うことが必要です。社会人になった今、始めてみましょう。以下のSTEP1から始めて、STEP2、STEP3に進んでいくことを考えましょう。

<STEP 1>自分自身のバランスシートを作ろう

 まず、最初にやるべきことがあります。バランスシートの作成です。バランスシートとは、企業の「資産、負債、純資産(資本)」の内訳を書き出したもので、一目で、企業の財務内容がわかります。それと同じものを、ご自身の金融資産・負債(借金)について、作成してください。

 まだ、就職したばかりだから資産も負債もほとんどない方が多いと思います。シンプルですから、一度、きちんと作ってみてください。

 ご参考までに、日本全体ではどうなっているか見てみましょう。家計の金融資産は、2018年12月末時点で1,830兆円ありますが、その内訳は、以下の通りです。

日本の家計の金融資産1,830兆円の内訳:2018年12月末時点

出所:日本銀行、資金循環統計

 上記は、あくまでも日本全体の平均です。これを参考に、ご自身が保有する金融資産の現在価値を書き出してください。次に、その時価を入れていってください。年齢が高くなり、さまざまな金融資産や負債を持つようになってからきちんと調べるのは、けっこう骨の折れる作業です。新社会人になったばかりですから、今はそんなに苦労せずに作れると思います。

 もし、親から譲られた投資信託や株などの金融資産をお持ちでしたら、時価で計上してください。次に、負債についても、記載してください。もし、返済が必要な奨学金やカードローンの残高があれば、負債サイドに計上してください。住宅ローンを借りている方はないと思いますが、将来、住宅ローンを借りたら、残高をきちんと把握して、計上してください。

 少なくとも年1回(できれば年2回)、家計のバランスシートを作るようにしましょう。それは、企業で言えば、中間決算・本決算をやるようなものです。家計のバランスシートを1年に1回作る習慣ができれば、きちんと家計簿をつけていなくても、年間の収支をザックリ把握することができます。