米国政治情勢が不安視され、金は反発

 金相場は反発。米国の政治の不安定さ、中央銀行総裁らが講演する米ジャクソンホールでの会合を前に、ドルが売られたことが材料視された。

 市場関係者はジャクソンホール会合に注目しているようだが、これが本質的な材料になるとは考えにくい。もっとも、週明けまでは様子見が続く可能性がある。今は株安で金高、株高で金安の動きが続いているが、いずれ方向性は決まってくるだろう。

 米国では、メキシコ国境の壁建設のために政府機関閉鎖も辞さないとしたトランプ大統領の発言を嫌気して株安となっている。トランプ大統領は前日のアリゾナ州での支持者集会で演説し、公約に掲げたメキシコ国境の壁建設を断行するとした。そのうえで、予算が確保できなければ、政府機関閉鎖も辞さない構えを示している。2017会計年度末が9月末に迫るなか、トランプ大統領の発言が政治の先行きに対する不安感を高まっている。

市場が注視する米ジャクソンホール会合

 また市場の関心は、24-26日に開催される米ジャクソンホール会合に向かっている。イエレンFRB(連邦準備制度理事会)議長とドラギECB(欧州中央銀行)総裁が講演を予定しており、今後の金融政策に関する手掛かりが示されるかについて注目が集まっている。

 米国のインフレ動向や12月利上げの可否については、FRB内で意見の相違が見られ始めており、イエレン議長の講演の内容に関心が集まるのも無理はない。

 しかし、ここで明確な発言が出る可能性はほとんどない。過去のイエレン議長の発言とその後の市場の混乱で、イエレン議長自身が疲弊した経緯がある。市場に影響を与えることが、いかに大きな心理的・肉体的負担になるか、経験済みであり、今回もそのような言及を避けると考えるのがきわめて妥当だろう。

 一方、ドラギ総裁については、何かしらの発言が出る可能性はある。しかし、過去の経緯を考慮すれば、それがECB全体の意見ではない可能性が高いリスクもあり、鵜呑みにできない面がある。結果的に今回の会合は中立材料でしかなく、注視するに値しないだろう。

 また、米国の連邦債務上限の引き上げに関しては、議会は夏季休暇明けの9月5日以降、政府閉鎖を回避するための措置を可決させるために12日しか残されていない。また、連邦債務上限引き上げの期限も迫っている。

 大手格付会社フィッチ・レーティングスは、米国が連邦債務上限を適切な時期に引き上げられなければ、「AAA」格付けを引き下げ方向で見直す可能性を示唆している。このような状況から、VIX(ボラティリティ・インデックス)指数は4日ぶりに上昇している。

 北朝鮮情勢がやや沈静化するなか、市場の関心は米国の政治動向に向かっており、不安定さを嫌気する動きにある。トランプ大統領の発言を真に受ける市場関係者がいまだ多いことに驚くしかないが、これが本質的な材料ではないことはいうまでもない。結果として、ドル安基調が変わることはなく、金相場の下値は支えられることになるだろう。

非鉄相場は軟調な動き

 非鉄相場は総じて軟調だった。LME(ロンドン金属取引所)在庫はアルミとニッケルが増加した。

 アルミは在庫の増加傾向が顕著になっているが、これは価格の上昇が背景にあるといえる。もっとも、この日は高値を更新しており、2,100ドルを超えている。新たな水準に入ったことはきわめて意味が大きい。

 銅は小幅反落だが6,500ドル台を維持しており、堅調そのものである。ニッケルは大幅続伸し、いよいよ長期的にも上昇基調が鮮明になってきた。指摘してきた通りの展開であり、この流れは数年単位での動きになると考えている。亜鉛は続落し、鉛は前日の急反発の反動で下げているが、それも次の上昇への一時的な調整でしかないだろう。

米国原油在庫減少により、原油は続伸

 原油は続伸。米国内の原油在庫が8週連続で減少したことを好感した買いが入った。

 また、熱帯低気圧「ハーベイ」がメキシコ湾岸に接近し、沿岸の石油製品生産が中断する可能性も材料視されたもようだ。NHC(米国立ハリケーンセンター)によると、ハーベイは勢力を強め、25日にハリケーンに発達する可能性があるという。

 一方、EIA(米エネルギー情報局)が発表した先週の原油在庫は前週比330万バレル減となり、市場予想の350万バレル減を下回ったが、減少傾向の継続が材料視されている。

 ガソリン在庫も同120万バレル減だった。ガソリン需要も日量963万バレルと、前週から10万バレル増加し、4週平均も同970万バレルと高水準を維持している。産油量は日量952万バレルとなり、前週から2万バレル増加した。産油量の増加傾向は続いている。

 リビア最大のシャララ油田について、関係者が語ったところによると、23日も操業停止が続いているという。同油田の再稼働の有無に関しては情報が錯綜しており、22日に少なくとも一度、再稼働したことが明らかになっている。NOC(リビア国営石油会社)は3日間のパイプライン封鎖が終わり、石油輸出港ザウィアからの積み出しについての不可抗力条項の適用を解除したと発表していたが、その後、この声明を削除した。油田の一部では生産停止が続いているという。

 閉鎖前の数週間のシャララ油田の生産量は日量28万バレル。6月末のリビア全体の石油生産量は、昨夏の4倍近い日量100万バレルに増えており、シャララ油田が回復のカギを握っているとされている。

 リビアはOPEC(石油輸出国機構)加盟・非加盟国による減産合意を免除されているが、想定以上の生産回復により、当初の減産効果が得られていないとの見方がある。しかし、今回のシャララ油田の閉鎖により、同国の生産回復は依然として不安定であることが明白になったともいえる。