はじめに

 今回のアンケート調査は1月28日(月)~1月30日(水)の期間で行われました。

 2019年最初の月となる1月末の日経平均株価は2万773円で取引を終えました。大納会だった前月末終値(2万14円)からは759円高となり、月次ベースでも上昇に転じています。

 あらためて1月の国内株市場の動きを振り返ってみると、大発会(1月4日)の日経平均は大幅安でのスタート。しかし、その後は月末まで戻り基調を描く展開となりました。

 世界景気のピークアウトやそれに伴う企業業績への不安、米中関係や英国のEU(欧州連合)離脱などといった政治的要因の不透明感は依然としてくすぶっている状態が続いていますが、一方で、閣僚級の米中協議が開催される運びとなったことや、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策スタンスがハト派に傾いたこと、そして中国が矢継ぎ早に放った景気対策などがサポートとなりました。

 相場環境を取り巻く環境や材料に目新しいものはなく、昨年末の株式市場が不安材料を先取りして急落していた後だけに、「売られ過ぎ」感の修正が進んだと言えそうですが、さらに上値を目指して行くにはまだハードルの高さも感じられる印象です。

 そのような中で行われた今回のアンケートですが、約2,250名からの回答を頂きました。株価の回復ムードによって、日経平均と為替の見通しDIがともに、急激に悪化した前回調査結果よりも改善する結果となりましたが、DIの値そのものは引続き「株安・円高」が優勢となっています。

日経平均の見通し

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト 土信田 雅之

前回調査の反動で改善も、警戒続く

 今回調査における日経平均の見通しDIの結果ですが、1カ月先がマイナス19.78、3カ月先はマイナス12.22となりました。

 前回調査の値(それぞれマイナス50.60、マイナス25.49)と比べると、両者もとに改善した結果ではありますが、値そのものはマイナス圏内ですので、先行きに対する慎重な見方の根強さも感じられます。実際に、回答の内訳グラフをみると、中立の割合が1カ月先で約50%、3カ月先で約43%と半数近くを占めています。

 元々、前回調査での多数派は弱気でした(1カ月:約61%、3カ月:約44%)。それが今回の調査ではそれぞれ約35%とかなり減少したものの、減少分の多くが強気ではなく、中立に流れていることからも、個人投資家の慎重な姿勢を感じ取れます。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成
出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 確かに、月間を通じた日経平均はおおむね堅調だったと言えますが、その一方で「買い戻せるけど買い騰(あ)がれない」ムードも感じられます。アンケート実施期間中(1月28~30日)の日経平均も、上げ下げを繰り返しながら、相場の方向感はほぼ横ばいとなっていました。

 とりわけ、月末にかけては国内外の企業決算だけでなく、FOMC(米連邦公開市場委員会)や米中の通商協議、EU(欧州連合)離脱代替案の英国議会での採決など、とにかくイベントが多く、それぞれのイベントの結果や動向を受けて、全体的に見てポジティブなのかそれともネガティブなのかをプラスマイナスで差し引きしながら動かざるを得なくなっています。そのため、動きづらい展開になってしまうのは仕方がなかったのかもしれません。

 そんな中、1月29日(火)に日本政府が公表した1月の月例経済報告において、2012年12月から始まった景気回復が戦後最長となった可能性があると表明しました。これにより、景気の拡大期間が74カ月間まで伸びることになります。字面だけを素直に受け止めるのであれば、長期にわたって好景気が続いているため、普通は株式市場にとって追い風になるはずなのですが、実際にはこの話題はあまり材料視されていません。

「最長だけど最弱」、「イマイチ実感がない」など、あまり好意的でない意見が多いのも事実です。具体的な数字を見ていくと、期間中の実質成長率は年平均で1.2%と低く、個人消費はわずか2%の伸びにとどまっています。

 また、これまでの景気を支えてきたのは、円安と財政支出を軸にして、国内企業の業績が伸びてきたことによりますが、海外で稼いだ利益を国内の経済成長へとつなげられていないこと、そして、牽引役だった海外の景況感はピークアウトや減速が警戒されています。

 さらに、もうひとつのサポート役である日銀の大規模な金融緩和は、低金利による金融機関の収益圧迫をはじめ、リスクとリターンのアンバランスや株式市場の需給を歪めたことなど、副作用を心配する声が増えており、さらなる金融緩和へ動きにくくなっています。

 現在はこうした国内の景況感を材料視していませんが、少なくとも「今のところは良いのかもしれないが、いつまで続くか分からない」不安と、「日本経済はイマイチでも儲かっている日本企業の株は買える」という期待の狭間で揺れ動いているムードにさせている面があると考えられます。現在の日本株は世界景気により敏感になっている点には留意しておく必要がありそうです。