「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福の中で消えていく」
読者の皆さんは、このウォール街の相場格言をご存じでしょうか。上昇相場が始まってから終わるまでのサイクルを表現した言葉です。

 昨年2018年末の相場急変を経て、いま皆さんが一番気になっていることは「幸福の中で消えていく」が、果たしていつやってくるのかということではないでしょうか。
 それでは過去、「幸福の中で消えていく」が起きた過程をリーマン・ショック前後のチャートを参考にして考えてみましょう。

図1 リーマン・ショック前のTOPIX月足(2003年1月~2009年12月)

 

※①の囲いは後半でご説明します。

 リーマン・ショック前の上昇相場の始まりは、2003年4月を底としてスタートしています(上昇スタートの部分)。その後、頭打ちとなったのは2007年2月です。そして、リーマン・ショックが起こったのは2008年9月。ここまでに既に1年半も下落相場が続いていたということになります。やがて相場は、2009年3月に底打ちしました。

 2003年4月を底にスタートしてから約4年で頭を打ち、そこから底打ちまでは2年程度ということになります。これを見ると上げと比べて、下げのスピードがいかに速いかが分かります。下げのスピードが上げより2倍速のため、逃げ遅れる人が多いわけです。

 

なぜ多くの人が逃げ遅れる理由:「どうせまた上がる」の呪縛

 人々が相場に懐疑的になると、相場は過熱しません。持っている株が少し上がれば売るし、下がっていた株が戻れば売ります。結果、投資家は資金が回転し始め、全体的に投資余力が残っている状態となります。

 ところが相場が成熟すると、売ったものが上がるということがひんぱんに起こるようになります。投資家はそのうちに株が下がっても「売らずに持っていたほうが利益は出るのでは」と考えるようになり、「利益確定」を嫌がるようになります。

 やがて、余裕資金のほとんどをつぎ込み、株価が上がるのを黙って待つことになります。
こうなると、売り注文が減り=市場に出回る株数が減るので、出来高を伴わなくても株価は荒く上下します。それが2006~2007年あたりの動きではないでしょうか。その後、売り注文が出始め、出来高を伴いながら下落していくと、相場は下落トレンドに転換します。

 

相場には再現性がある!?

 投資をする人に共通していること、それは全員が「利益を出したい」と思っていることです。参加者全員がどうすれば利益が出るか考え、株式投資に挑んでいます。多くの人の思いが交錯し、株価には値動きが生まれます。それを表したものがチャートです。

 つまり、チャートはさまざまな人間心理が作り上げる「株価の道」なのだと思います。人々の思惑が作る道なので、過去のチャートを振り返ると、よく似たような動きがあります。

 筆者は、TOPIX(東証株価指数)のチャートを、いま現在とリーマン・ショック時と比較してみました。

 図1の①の部分をくり抜いて週足で表示したものが図2です。
アベノミクスの上昇期間は、リーマン・ショック前の上昇期間よりも長く、天井形成も長いスパンになるため、期間の長さを合わせていません。あくまで「道の形」にフォーカスしています。

図2 リーマン・ショック前の天井形成(図1の①の部分を拡大)

 

図3 TOPIX週足(2014年~現在)

 

 

 図2と図3は形が似ていますね。これをどのように受け取るかは投資家次第ですが、リーマン・ショックから10年、何が起こってもおかしくはありません。
ジェットコースターのようにゆっくりと上昇して、一気に下げるのが株式市場です。