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米朝の緊張緩和で「金」に売り圧力。「原油」も下落
江守 哲
コモディティ デイリーコメント
貴金属、原油を中心とした商品(コモディティ)マーケットの要点をまとめたデイリーコメント。コモディティマーケットに精通した江守氏の鋭い着眼点に注目。

米朝の緊張緩和で「金」に売り圧力。「原油」も下落

2017/8/15
・2カ月ぶりの高値から、金は反落
・調整的な動きから、非鉄は下落
・ドル高と軟調な中国需要から、原油は反落
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2カ月ぶりの高値から、金は反落

 金相場は反落。ドル高や米朝間の緊張緩和が売り圧力につながり、2カ月ぶりの高値から下げている。1,300ドル試す動きに入る前の調整であり、目先は売りが優勢になる可能性がある。北朝鮮の解放記念日にあたる15日に米朝間の緊張を再燃させる可能性が指摘されているが、週末に米朝間で挑発的な応酬がなかったことから、市場にはやや安心感が広がっており、株価が急速に買い戻さされるなど、金市場にはネガティブな状況となっている。

 現在の金相場はドル安と地政学的リスクで買われており、ドル安基調が続けば、大きな問題にはならないと思われる。基本的には、米朝間の緊張は金相場のサポート要因ではあるが、本質的な材料ではない。基本は米長期金利の低位安定とドル安が押し上げ要因であることを理解しておく必要がある。

 一方、世界第2位の金消費国であるインドの主要な金精製業者によると、2017年の金輸入量は前年比約34%増の750トンとなる見通し。宝飾業者が在庫を増強することが背景にあるという。インドの輸入が増えれば、金相場の下支えになるとみられている。しかし、貿易赤字は拡大する可能性があり、金輸入動向は同国政府の政策の影響を受ける可能性がある。

 WGC(ワールド・カウンシル)によると、2016年のインドの金輸入は557.7トンで、13年ぶりの低水準だった。GFMS(ゴールド・フィールズ・ミネラル・サービシズ)によると、2017年1~7月の輸入量は前年同期比2倍超の550トンだった。ただし、今後は業者による在庫増強が一服し、輸入量は伸び悩むとみられている。

調整的な動きから、非鉄は下落

 非鉄相場は総じて下落。LME(ロンドン金属取引所)在庫はアルミが増加したが、それ以外は減少した。

 アルミは反落したが、2,000ドル台で、堅調さを維持。銅は頭がやや重くなってきたが、それでも重要な節目の6,400ドルをキープする。ニッケルは急落した。それでも1万200ドルを継続し、中期的な基調は維持されている。亜鉛は反発し、高値圏を維持。鉛も2,320ドルのサポートを維持しており、基調は変わっていない。

 いまは最近の上昇に対する調整的な動きの中にあり、これをこなせば再び上向くと考えられる。夏休みシーズンが終われば、ドル安・株高を背景に、非鉄相場も堅調さに拍車がかかるだろう。

中国の非鉄動向

 中国の7月のアルミ生産量は過去最高を記録した6月の293万トンから、8.2%減の269万トンとなった。生産能力の削減が背景で、前年比では0.3%減だった。

 7月の非鉄金属全体の生産量は前年比横ばいの455万トンとなったが、6月の485万トンからは6.2%減少した。一方、2017年1~7月のアルミ生産量は前年同期比7.5%増だった。

 中国の7月の経済指標は、これまでの底堅さが失速しつつある兆候がみられた。ただし、秋に予定されている中国共産党第19回全国代表大会(第19回党大会)を前に、中国政府は経済の安定を目指し、新たな政策を打ち出すことから、景気がハードランディングする可能性は低いという指摘がある。

7月の実績は次の通り。

 鉱工業生産、固定資産投資、小売り売上高はすべて市場予想を下回った。貿易統計も輸出が前年同月比7.2%増、輸入が同11.0%増となり、伸び率はともに市場予想を大きく下回っていた。鉱工業生産は前年比6.4%増と、伸びは6月の7.6%から鈍化。小売売上高は10.4%増と、市場予想の10.8%を下回った。

 1~7月の固定資産投資は8.3%増で、市場予想の8.6%を下回った。民間投資は6.9%増で、1~6月の7.2%増から伸びが鈍化した。中小規模の民間企業が引き続き、資金調達に苦慮しているとみられている。

 不動産投資は前年同月比4.8%増となり、伸び率は6月の7.9%から鈍化した。1~7月の不動産投資は前年同期比7.9%増加し、1~6月の8.5%増から伸びが鈍化した。新築着工(床面積ベース)も8%増と上半期の10.6%増から減速。不動産販売(床面積ベース)は前年比14%増と上半期の16.1%増から鈍化した。7月単月では前年比2%増と、15年12月以来の低い伸びとなった。

 発電量は前年同月比8.6%増の6047億キロワット時となり、単月としては14年5月以来の高水準を記録した。火力発電が大幅に増えたことが背景とみられている。1~7月の総発電量は6.8%増の3兆5,700億キロワット時だった。

ドル高と軟調な中国需要から、原油は反落

 原油は反落。リビアの供給不安から押し上げられる場面もあったが、北朝鮮情勢の緊張緩和を受けたドル高や中国の軟調な需要統計が下押し材料となった。また、中国の製油所稼働率が悪化したことも売り材料視されたようだ。

 一方で、NOC(リビア国営石油会社)がシャララ油田の保安上の問題について調査中と発表したのを手掛かりに買いが入る場面もあり、乱高下の一日となった。リビアで最大規模のシャララ油田からの供給が混乱すれば、OPEC(石油輸出国機構)の供給減少につながるため、この材料の市場の注目度は高い。ただし、NOCは今回の問題が生産に影響があったかは明らかにしていない。

 チャート面では重要なサポートの48.60ドルを割り込んだが、最も重要なサポートである47.15ドルは維持。これが維持されれば、売られすぎ感が強まっていることもあり、反発に転じる可能性が高まる。

 IEA(国際エネルギー機関)は最新の月報で、北米での増産やOPEC減産合意の減産順守率低下にもかかわらず、2017年の世界の石油需要は予想を上回る伸びとなり、世界的な供給過剰の緩和を促すとの見通しを示し、2017年の世界石油需要の伸びを日量150万バレルと、前月予想の140万バレルから上方修正した。

 また2018年の需要の伸びについては同140万バレルと予想。試算では、7月のOPEC減産順守率は75%に低下し、1月の減産開始以降で最低となった。順守率が低かったのは、アルジェリア、イラク、UAE(アラブ首長国連邦)で、OPEC加盟国のうち、減産を免除されているリビアの産油量が急増した。ただし、6月と7月に先進国の原油在庫は減少したとしており、堅調な世界の石油需要が原油の過剰感の解消に寄与したようだ。

 EIA(米エネルギー情報局)によると、9月の米国内のシェールオイル生産量は615万バレルとなり、9カ月連続で増加するとの見通しを示した。主要産地別では、パーミアン盆地が6万4,000バレル増の260万バレル、イーグルフォードが1万4,000バレル増の139万バレル、バッケンが1万バレル増の105万バレルとなる見込み。また、今回から急成長を続けるアナダルコ地区が見通しの対象に加わっている。

 一方、米国内の石油掘削リグ稼働数は前週比3期増の768基で、15年4月以来の高水準だった。過去3週のうち2週で稼働数が増加しており、回復局面が続いている。ただし、石油各社は原油安を受けて投資計画を縮小する方針を示しており、増加ペースはここ数カ月で鈍化している。

 前年同週のリグ稼働数は396基で、16年6月以降では、63週のうち56週で稼働数が増加した。エネルギー業界各社が発表した4〜6月期決算に基づくウッド・マッケンジーの予測では、米国最大の油田鉱区でテキサス州西部とニューメキシコ州にまたがるパーミアン盆地の生産量は12月末までに日量30万バレル増加すると予測。昨年末時点での予想から20万バレル引き上げた。ライスタッド・エナジーも同30万バレル増加するとみている。2018年のパーミアン盆地の生産量は、両社ともに日量270万バレル前後と予想している。

 またパイオニア・ナチュラル・リソーシズは、4~6月期の生産量が予想外に減少したことや、掘削コストが一部増加したとしている。多くのエネルギー企業は、原油価格が50ドルを下回っていることや生産効率の改善を理由に、今年の設備投資費の削減を公表している。米国内の掘削リグ稼働数は過去3週間減少しており、生産が今後伸び悩むとの見方が強まっていた。直近では再び増加しているものの、伸びは明らかに鈍化しており、今後も大きくは伸びないと考えられる。これが原油相場の下値を支えることになると考える。

 中国の7月の石油精製量は4,550万トン(日量1071万バレル)だった。日量ベースでは2016年9月以来の低水準となった。前年比では0.4%増だったが、6月からは日量50万バレル減となった。燃料需要の伸びが引き続き鈍く、在庫が高水準にあるため、精製量は伸び悩んでいるもようである。

 一方、今年1~7月の精製量は前年同期比2.9%増の3億2,070万トン(日量1,104万バレル)だった。中国国内の7月の原油生産量は前年比2.9%減の1,625万トン(日量383万バレル)で、6月(日量394万バレル)から減少。1~7月では前年同期比4.8%減の1億1,279万トン(日量388万バレル)だった。

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