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忍び寄るデフレの影。日米物価と今後の投資シナリオ
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忍び寄るデフレの影。日米物価と今後の投資シナリオ

2017/8/14
・米国の物価指標発表で為替相場が大きく動く ・米国の株価水準を支えていたのは物価高? ・物価動向から考える今後のシナリオ
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米国の物価指標発表で為替相場が大きく動く

先週11日に発表された米国のCPI(消費者物価指数)は前月比で0.1%の上昇でした。市場予想は0.2%の上昇でしたが、この発表を受けて米ドル対円相場は円高米ドル安に反応し、一時米ドルは108円70銭台の安値を付けましたが、直後に109円40銭台の高値を付け、その後はCPI発表前の水準に戻しました。

一時的に円高米ドル安が進んだことについて、物価上昇に歯止めがかかったことでFRB(米連邦準備制度理事会)による追加利上げ観測が後退したという解説も見受けられますが、指標発表後は元の水準に戻っていることから投機筋の動きによる変動だったのではないかと考えられます。

短期的には政策金利の動向が為替相場に影響するものと考えられますが、一方で物価=モノの上昇スピードが減速するということは、モノを買うための通貨の価値が上がることになるので、長期的には米ドル高要因と考えられます。もっとも、対円相場でいえば日米の政策金利差と物価上昇率の差を見る必要があるでしょう。

 

 図1は日米の消費者物価指数の動向です。FRBの利上げにも関わらず円高米ドル安傾向が続いているのは、日本よりも米国で物価上昇が顕著であったからかもしれません。

少し過去を振り返ると、2014年の日本の物価上昇は米国を上回っていました。この日本の物価上昇が進んだ時期は円安米ドル高傾向となった時期と重なります。直近では米国の物価上昇のスピードは2017年2月にピークアウトしているようです。物価の上昇スピードの減速によって円安米ドル高になってもよさそうですが、円高米ドル安傾向が続いています。この背景には日本の物価の上昇スピードが米国よりも早くピークアウトしていることがあるかもしれません。日本の直近の物価はかろうじてプラスになっている状況であり、米国よりも日本でモノの価格が下落していることが円高米ドル安の要因なのかもしれません。

 

米国の株価水準を支えていたのは物価高?

ところで、物価の上昇はモノの価格が上がることですから、物価が上昇すれば株価も上がると考えられます。そこで日米の代表的な株価指数について物価変動を除いて比較してみました。ちなみに物価変動部分を除くことをインフレ調整と言います。図2は2009年12月末から2017年7月までの米国の株価指数S&P500と日本の株価指数TOPIX(東証株価指数)との比較です。図1の消費者物価指数を用いてインフレ調整後の株価指数も載せています(日本の2017年7月の消費者物価指数のデータは本稿執筆時点で取得できなかったため6月と同じ数値を用いています)。

 

図2を見るとインフレ調整の影響が大きいのは米国のS&P500です。日本のTOPIXはインフレ調整後で見てもあまり変化がありません。つまり、米国の株価指数は物価上昇によってかさ上げされている部分が少なからずあるということです。米国では株価指数が過去最高値を更新するような状況になっているのにも関わらず、日本ではそのような状況になっていないのは、米国に比べて物価上昇のスピードが遅いのが要因の一つと考えられます。

 

物価動向から考える今後のシナリオ

米国の物価上昇スピードが減速していることはFRBにとっては悩みのタネかもしれません。FRBとしては政策金利を引き上げ、バランスシートの縮小を行って金融政策の正常化を進めたいけれども、物価が上がっていないのでは利上げを積極的にする理由にしにくいからです。とはいえFRBは政策金利の引き上げとバランスシートの縮小は粛々と進めていくと考えられます。物価上昇スピードは減速しているものの、金融政策の正常化を見直すほどの低い水準ではありませんし、失業率も過去最低水準まで下がっています。

一方で日銀は物価到達目標を先送りするなど、物価上昇へのコミットメントは不明確です。日本で物価上昇スピードが加速するとは見込みにくい状況です。さらに量的緩和政策は限界に近づきつつあり、いずれ国債やETF(上場投資信託)の買い入れ減額を実行することになるでしょうが、これは物価上昇スピードをさらに減速させるものになるでしょう。

以上を踏まえると、FRBによるゆっくりとした金融引き締めよりも日本の物価低下のほうが対円米ドル相場の下落、つまり円高米ドル安として影響を与えるかもしれません。さらに日銀が金融引き締めに舵を切れば一層の円高圧力となるでしょう。米国の株式市場は物価上昇スピードの減速による、かさ上げ効果の減少に加えてFRBによる金融引き締めによって長期的には調整局面入りとなるかもしれません。日本の株式市場は円高に加えて物価上昇がマイナス、つまりデフレ再突入の可能性もあり、長期的には調整局面入りとなるでしょう。

このシナリオを前提に投資を考えるのであれば、相場下落時に収益獲得が狙えるeワラントを下落に備えた「保険」として活用します。長期的なシナリオなので、時間経過による目減りの影響が少ない銘柄を選択するのがポイントです。具体的には権利行使価格が高めで、満期日までの期間が長いダウ平均株価を対象とするプット型eワラントや、長期保有にも向いている日経平均マイナス3倍トラッカーを保有することを考えます。保有銘柄の満期日まで残り2カ月を切ったあたりでいったん売却し、再び同様な銘柄を保有します。

また、11日の米国のCPIの発表で米ドル対円相場が上下に大きく動いたことから、今後の日米のCPIの発表前に米ドル対円相場を対象とするコール型eワラントとプット型eワラントを両方保有して、発表後にどちらも売却する両建て戦略も有効かもしれません。両建て戦略では相場がどちらかに大きく動くことで、片方の上昇で片方の下落を相殺し、トータルで若干のプラスを狙うeワラントならではの戦略です。

次回の消費者物価指数発表予定日
日本:8月25日
米国:9月14日

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