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北朝鮮リスクで「金」が大幅反発
江守 哲
コモディティ デイリーコメント
貴金属、原油を中心とした商品(コモディティ)マーケットの要点をまとめたデイリーコメント。コモディティマーケットに精通した江守氏の鋭い着眼点に注目。

北朝鮮リスクで「金」が大幅反発

2017/8/10
・北朝鮮リスクにより、金は反発 ・非鉄は堅調 ・米国原油処理量が過去最高で、原油は反発
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北朝鮮リスクにより、金は反発

金相場は上昇。1,270ドルを明確に上回り、2カ月ぶりの高値水準に反発した。

北朝鮮が米領グアム島周辺を攻撃する計画を検討中と威嚇したのに対して、トランプ大統領が核兵器の「火力」で対抗すると警告したことで、両国の関係悪化が懸念されており、投資家の資金が安全資産である金に向かっている。

このような地政学的リスクが高まると、投資家は株式を避ける一方、安全資産である円やスイスフラン、国債、金などの資金をシフトする傾向がある。今回もそのような動きが鮮明になっている。

市場は不確実性を嫌う傾向があり、今後も北朝鮮情勢の不透明感は金市場の潜在的な下支えとなるだろう。11日には米国CPI(消費者物価指数)の発表が控えているが、ここでインフレ率が高まっていないことが再確認されるようだと、ドルの上値は限定的となり、金市場にはポジティブに作用することになるだろう。

ドルが上がりにくい状況は今後も続く可能性が高い。金はその影響をもっとも受けやすいことから、下値の切り上げが続くことになるだろう。

非鉄は堅調

非鉄相場は総じて堅調に推移。LME(国際通貨基金)在庫はニッケルと鉛が増加している。相場が上がってきているため、余剰玉の持ち込みが増えているとみられる。

北朝鮮情勢の緊迫化は地政学的リスクへの警戒感を強めるが、非鉄相場への影響は限定的である。ドル安が下値を支えている面があるだろう。

アルミは下げたが、場中では高値を更新している。中国の生産削減策への思惑が買いを誘っているとの指摘がある。銅も下げたが、高値を更新している。地合いの強さは変わらない。ニッケルは続伸で、一時1万800ドルを上回った。亜鉛も2,983ドルまで上昇する場面があり、高値を更新。鉛は下げたが、同様に2,420ドルを超えるなど、高値を更新している。

このように、非鉄相場の地合いは明らかに強気に傾いている。一時的に調整は入るとみられるが、すでに基調は変わっている。

一方、中国の7月のCPIは前年同月比1.4%上昇に鈍化した。5月と6月は1.5%上昇。7月は前月比では0.1%上昇だった。7月のPPI(生産者物価指数)は前年比5.5%上昇し、5月、6月と同じ水準だった。前月比では0.2%上昇だった。

米国原油処理量が過去最高で、原油は反発

原油は3日ぶりに反発した。米国で製油所の原油処理量が過去最高になり、在庫が減少したことが材料視された。ただし、ガソリン在庫が市場予想に反して増加したため、上値は限定的だった。EIA(米エネルギー情報局)が発表した石油在庫統計では、原油在庫は前週比650万バレル減と、減少幅が市場予想の270万バレルを大きく上回った。また、製油所の原油処理量が日量1,760万バレルと、調査開始の1982年以来で最高となった。

一方で、ガソリン在庫が340万バレル増と、市場予想の150万バレル減に反して増加した。また、米国内の産油量は日量942.3万バレルと、前週比7,000バレル減少している。米国内の原油在庫の減少により、OPEC(石油輸出国機構)主導の減産が供給過剰の削減につながるとの期待が高まる可能性があるだろう。

またOPECはUAE(アラブ首長国連邦)のアブダビ首長国で行った2日間の専門家会合で、協調減産合意は徹底されるとの声明を発表した。会合には非加盟の産油国も参加した。OPECが供給監視のため利用する二次情報統計によると、OPEC加盟国のイラクとUAEの順守率は比較的に低い状況にある。

IEA(国際エネルギー機関)によると、非加盟国のカザフスタンとマレーシアでは、ここ数カ月間で増産が続いている。会合には、ロシア、クウェート、サウジアラビア、OPECの本部ウィーンから当局者が出席したが、イラク、UAE、カザフスタン、マレーシアの各関係者と個別に会談したという。OPECは声明で、「UAE、イラク、カザフスタン、マレーシアが、現行の減産監視制度を全面的に支持することを表明した」としている。

WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は49.50ドル前後でのこう着状態にあるが、これを上抜けると基調が上向きになる可能性が高い。

※8月14日の「コモディティ デイリーコメント」は休載します。

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