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北ミサイルで「金」高値更新。「原油」は今年最大の上昇率
江守 哲
コモディティ デイリーコメント
貴金属、原油を中心とした商品(コモディティ)マーケットの要点をまとめたデイリーコメント。コモディティマーケットに精通した江守氏の鋭い着眼点に注目。

北ミサイルで「金」高値更新。「原油」は今年最大の上昇率

2017/7/31
・金相場は上昇し、6週間ぶりの高値
・ニッケルは高値更新。亜鉛は下落
・原油は週間ベースで今年最大の上昇率
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金相場は上昇し、6週間ぶりの高値

金相場は上昇し、6週間ぶりの高値を付けた。市場予想より落ち着いた内容の米国のインフレ指標が公表されたことで、FRB(連邦準備制度理事会)による積極的な追加利上げ観測が後退したことや、北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射したことを受けて、安全資産の金に買いが入ったといえる。2017年4~6月期の米国の実質GDP(国内総生産)速報値や雇用コスト指数の内容が米長期金利を押し下げ、それがドルの下落につながっている。
北朝鮮は7月28日に弾道ミサイルを発射したが、日本の政府当局者や報道機関は、ICBMの可能性があるとしている。金市場を取り巻く環境は追い風ムードで、下げにくい地合いが続きそうである。
一方で、世界最大の金ETF(上場投資信託)であるSPDRゴールドトラストの保有高は、7月21日の813.76トンから791.88トンに減少している。減少傾向が続く中、大台の800トンを下回っており、投資家は堅調な株式市場に投資資金を移行させている可能性がある。
COMEX(ニューヨーク商品取引所)金先物市場での大口投機筋のポジションは、7月25日時点で9万831枚の買い越しとなり、前週から3万693枚増加した。買いポジションは3,067枚増加した一方、売りポジションが2万7,626枚減少した。
金相場が底値から反転する流れから、投機筋は慌てて買い戻しを入れている様子がうかがえる。また、週末に上昇していることから、買戻しの動きがさらに進んでいるものと考えられ、来週発表されるデータを確認したい。

ニッケルは高値更新。亜鉛は下落

非鉄相場はまちまち。LME(ロンドン金属取引所)在庫はすべての銘柄が減少した。ドル安や中国経済への期待感の高まりは買い材料だが、最近の上昇に対する反動的な売りが出ているといえる。アルミは1,911ドルまで下落したが、長期上昇トレンドは維持。銅は続伸。6,250ドルにあるサポートでしっかりと下げ止まり、その後は上昇している。高値圏を維持しており、きわめて強い動きにあるといってよいだろう。
一方、ニッケルも続伸し、1万270ドルまで上昇して高値を更新。亜鉛は下落した。ただし、2790ドルのサポートをわずかに下げたが、長期トレンドは維持されている。
鉛は反発。2,290ドルで下げ止まりから、反発しており、下値の堅さが見られる。今週は31日に中国の製造業PMI(購買担当者指数)、8月1日には民間の中国製造業PMIも発表される。さらに、4日には7月の米雇用統計がひかえる。市場では銅を中心に高値警戒感も出始めているが、これらの経済指標やドルの動向に一段と関心が集まるだろう。ただし、基本的な基調が変わることはないだろう。

原油は週間ベースで今年最大の上昇率

原油は大幅続伸。供給過多への懸念後退を背景に週間ベースでは今年最大の上昇率となった。先週に発表された米国内の原油在庫が予想以上に減少したことや、世界最大の産油国サウジアラビアが8月に一段と減産すると示唆したことが相場反転を支えている。米国の石油在庫統計により、雰囲気は変わりつつある。
またサウジの輸出削減もあり、世界的な石油在庫の継続的な正常化への期待が高まっており、売り方の買い戻しが入りやすくなっている。米国内の石油掘削リグ稼働数は前週比2基増の766基と、15年4月以来の高水準となった。しかし、7月の増加数は10基で、単月では16年5月以来の低水準である。
最近の原油安を受けて、14カ月に及ぶ稼働数の回復ペースは明らかに鈍化しており、複数の探査・生産会社が設備投資計画を縮小しているもようだ。
このように、これまでのムードに変化がみられていることから、積極的に売りを出しづらくなっていることは確かだ。繰り返しだが、サウジの輸出抑制に加え、ナイジェリアの生産抑制、米石油サービス会社ハリバートンによるシェールオイル掘削ブーム後退の見通しなどは、原油相場の押し上げるに十分な材料になる。米シェールオイルの採算ラインは今後上がっていくことが想定され、生産維持は困難になっていくだろう。
加えて、OPEC(石油輸出国機構)加盟国と非加盟の主要産油国は、一部の産油国に対し減産合意の一段と厳格な順守を求める方針であり、これも供給減につながりやすい。
減産が確実かつ着実に実行されれば、在庫は減少し、それを受けて原油相場は上昇に向かうだろう。さらに、ベネズエラの政情不安を挙げる声もある。地政学的リスクが台頭すれば、これも原油相場を支えるだろう。
7月25日時点の投機筋のNYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)・WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物・オプションの買い越しは、前週から2万6879枚増加した。買いポジションが7035枚増加し、売りポジションが1万9844枚減少した。買い戻しが入り始めており、当面はこの動きが続きそうである。
 

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