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「金は続伸、原油は大幅反落」
江守 哲
コモディティ デイリーコメント
貴金属、原油を中心とした商品(コモディティ)マーケットの要点をまとめたデイリーコメント。コモディティマーケットに精通した江守氏の鋭い着眼点に注目。

「金は続伸、原油は大幅反落」

2017/7/24
週間ベースの上昇率は2.2%となり、今年5月以来の大きさとなった。ドルが対ユーロで16年6月以来の安値を付けたことから、ドル建て金相場の割安感が意識され、節目の1,250ドルを上回っている。
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金相場は続伸。

週間ベースの上昇率は2.2%となり、今年5月以来の大きさとなった。ドルが対ユーロで16年6月以来の安値を付けたことから、ドル建て金相場の割安感が意識され、節目の1,250ドルを上回っている。

ドラギECB総裁が20日に開催された定例理事会後の会見で、資産購入計画の縮小を急がないと言明したことから債券利回りが低下したことや、米国の追加利上げ観測が後退したことで、ドルが主要通貨に対して下落したことが金相場を押し上げている。

トランプ大統領が公約した医療保険制度改革(オバマケア)代替案の早期成立が困難となったことで、トランプ政権が掲げる経済政策に懐疑的な見方が広がっていることもドル安につながっており、金相場を押し上げている。

さらに、ロシア政府の米大統領選介入疑惑に絡んで、モラー特別検察官がトランプ陣営の捜査対象を拡大すると報道されたことも、安全資産としての金買いにつながった可能性がある。世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は、7月14日の828.84トンから21日の813.76トンに減少した。6月26日には一度増加したが、その後は減少傾向が続いている。

投資家は株式市場に資金をシフトさせている可能性がある。COMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは、7月18日時点で6万0,138枚の買い越しとなり、前週から122枚減少した。買いポジションは404枚減少し、売りポジションも283枚減少した。ネットの買い越しポジションはわずかに減少したが、減少幅は極めて限定的であり、投機筋の売りは止まったものと考えられる。

イエレンFRB議長が議会証言で、早期利上げの可能性を否定したことをきっかけに、それまで世界的に盛り上がっていた利上げ機運が沈静化している。米国のインフレ指標の低迷で利上げ観測は大きく後退しており、ドル安が進みやすい地合いにあることも金相場にはポジティブに作用するだろう。

また、米上院でオバマケア法案が再び頓挫したことで、トランプ大統領が一連の景気浮揚策の実現性に疑問が強まったことから、安全資産である米国債の買いにつながり、利回り低下がドル安を誘発している。一方で、ECBによる量的緩和策の解除への期待は根強く、ユーロが対ドルで買われていることも、ドル建て金価格の押し上げにつながりやすい。

ECBは定例理事会で、マイナス金利など金融政策の現状維持を決めたが、ドラギ総裁は年末までを区切りとする現在の量的緩和策について、「来年以降の方針を秋に議論する」とし、見直す可能性を示唆している。そのため、10月の定例理事会までは、ユーロ高が金相場を支える可能性がある。

一方、インドや中国などの逆張りの買い手が下落局面での買い意欲を示しており、これも金相場の下値を支えるだろう。金相場は節目の1,250ドルを超えたことから、ここがサポートになれば、1,270ドル前後を試し、これを超えると再び1,300ドルを試すことが想定される。

夏は通常は押し目を形成し、金の買い場になりやすいが、今年は上昇する可能性もあるだろう。

非鉄相場は堅調に推移。

LME在庫は小幅ながら総じて減少した。アルミは下げ渋りの動き。1,900ドル以下を売る動きはみられていない。ここをサポートできれば、再び上昇に転じるだろう。銅は一時6,050ドルまで上昇し、4カ月半ぶりの高値を付けた。上昇相場は続いており、6,000ドルを固めるようだと、きわめて強い相場が示現する可能性がある。ニッケルは堅調に推移。下げ渋っており、上昇の足場固めの動きになる。ただし、9,700ドルを試して失敗しており、これを上抜けないと本格的な上昇に向かうことはできない。

インドネシアのエネルギー・鉱物資源省は、17年上半期のニッケル鉱石輸出量が40万3,201トンだったとしている。インドネシアは今年に入って輸出全面禁止措置を解除している。亜鉛は反発して、2,700ドル割れを回避。これで2,775ドルを超えると再び上値を試しやすいだろう。鉛も同様に2,200ドルをサポートしており、これで2,250ドルを超えると上昇に向かいやすいだろう。中国経済は引き続き好調に推移しているとの見方から、需要も底堅いとの観測が高まっている。また、ドル安基調にあることも押し上げにつながりやすいだろう。

原油は急落。

7月のOPEC産油量が減産の取り組みに反して増加するとの予想を受けて、供給過剰不安が再燃したことが売りにつながったもようである。戻りを試す中で、レジスタンスとなっていた47ドルで打たれており、弱い動きにある。

市場では、相変わらず弱気筋の声が通りやすい状況にあり、30ドル台にまで下げるとの見方もある。原油相場の反転には、OPECが一段の減産に踏み込むことが求められるだろう。特に減産を免除されているリビアとナイジェリアへの減産枠の設定は不可欠であろう。そのうえで、全体の生産量を14年当時の日量3,000万バレル程度にまで落とすくらいの、ドラスティックな減産が必要である。

一方で、現在の減産を続けるだけでも、日量100万バレル程度の在庫調整になる計算である。これは決して小さな数値ではないが、市場はまだ織り込んでいない。一年間で4億バレルから5億バレルの在庫調整になり、相当量が減少することになる。

産油国が欲しがっているのは最低55ドル、できれば60ドル以上の原油価格であり、最終的には生産者が必要としている水準にまで戻すだろう。また、減産合意を監視している産油国グループが24日に開催する合意修正の勧告を視野においたロシアでの会合にも注目しておきたい。この会合は、協調減産の履行状況を監視する役割のもので、共同閣僚監視委員会(JMMC)と呼ばれている。減産合意内容や市況などを議論するため、ロシアのサンクトペテルブルクで会合を開催するが、クウェートはJMMCの議長国で、ベネズエラ、アルジェリア、サウジアラビア、ロシア、オマーンが参加する。

そのクウェートのマルズーク石油相は、OPECの協調減産合意に関して、「産油国の順守状況は良好で、希望を与えるものである」との認識を示し、OPEC加盟国の減産順守率は106%で、非加盟国は80%に達したとしている。

調査会社ペトロロジスティクスは、7月のOPEC産油量は日量14万5,000バレル増で、日量3,300万バレルに達すると予想している。サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)、ナイジェリアが増産をけん引するとみられている。

一方、米国内石油掘削リグ稼働数は、前週比1基減となったが、低迷する原油価格の水準を考慮すれば、増加させるのは簡単ではないだろう。市場では、掘削の回復は少なくとも19年まで続くとの見方もある。米国内の石油掘削リグ稼働数の増加傾向がいつ止まり、減少に向かうのかを確認することになるだろう。実際に減少に向かうようだと、かなりのインパクトになることは言うまでもない。いまの価格水準で新規で稼働数を増やすのは難しいことは自明であり、そろそろ止まるころであると考えている。

7月18日時点の投機筋のNYMEX・WTI原油先物・オプションの買い越しは、前週から3万8,434枚増加した。買いポジションが2万3,006枚増加し、売りポジションが1万5,428枚減少した。ようやく買いが増え始めたが、週末に掛けて相場が下げており、再び売られている可能性がある。投機筋が売り込めば、再び下値を試すだろうが、結局は買い場になるだけであろう。また、現在の市場ではドル安基調が完全に無視されている。それだけ、異常な状況であることだけは確かであろう。

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